第二章 フロンティアな俺
第38話 完成させる俺
遂に完成した。
長かった。
家の要塞化や食料調達の合間を縫って、製作すること約3ヶ月。
俺の最高傑作が完成した。
汎用ヒト型人形ZERO號機。通称【エバ】。
大工道具が手に入ったことにより細かい細工が出来るように成ったので、少しずつ精巧な人形を作りだすことに。
腕は当然のこと指の関節までスムースに動く仕様に。顔も木を削りだし、可愛らしいお顔に仕上げることに成功した。
髪の毛まである。
どうしたかって?
聞くなよ。当分水面に映る俺の顔は見たくない。見たくはないが顔を洗うときにいっぺんに頭まで洗えるのは地味に便利ではある。
誰かに会う予定もないからどうでもいいけどね。
服や靴も着せている。身長は140cm程度なのであの死体から剥いだものを詰めて着せてある。
身体本体を削りだす時に悩んだ。
胸を出っ張らすか。
つまりおっぱいをつけるかどうかで悩んだ。
悩んだ結果、出っ張らせた。推定Dカップぐらいに。思わず精巧に。念入りに。
――何やってんだ俺は。
と、我に帰る時があったがそれはそれ。
ぼっちなりの孤独さを埋める作業と言いますか。
下?
下はツルツルです。割れたり、窪んだり、穿ったりはしてません。
断じてしてません。
それをやったら俺が終わりそうなのでやってません。
……チラッとは考えたけどね。
服も本当はメイド服とか。とか。とか。
考えた。でも服は当然生地もないし裁縫技術もないので諦めた。
そもそも俺はコスチュームに萌える質ではない。
パンツとかの下着もそれほど興味ない。
重要なのは具だよキミ。具。
……いや。そんな話題はどうでもいい。
あとは行動パターンのプログラミング。
書いては消し、消しては書いて、追加して。
紙にビッチリ両面書いて50ページに渡る命令を記入したがまだ終わらない感じ。
同じ様な命令をループしてしまったりしていることもあるが、紙も残り少なくなってきているのである程度のところで妥協をする。
口頭で命令を発すれば行動に移せるようになっているのでこれで良しとする。
残念なのは声が出せないことだ。
声を出せる仕様にするには、声帯を作らなければならない。要は空気の振動をさせるってこと。
まず、空気を送り出す装置が作れない。
革袋で試してみたけどピッチリ縫えないし、息が鹿皮臭いのもゲンナリする。
どうせ受け答えできるところまでプログラミングは出来ないので必要ないと割りきった。
疑問なのは耳がないのにこちらが喋っていることが聞けるってことだろうな。
魔法だからか。ファンタジーだからなのか。
試運転中にやばいと思ったのは、家の周りの立入禁止区域に入った時。
弓打ち人形達に蜂の巣にされていた。俺以外の動くものに対して打つように設定しているからだ。
近くにいた俺にも流れ矢が飛んでくるし、避けようとして落とし穴に落ちかかりブービートラップに引っかかるかと思った。
――その内に弓打ち人形達にも敵味方の識別を出来るようにしなければ。
ともあれ、エバができたできたことにより、俺が寝ている時や周囲警戒、反撃時の戦力などを得れたのは大きいと思う。
多少行動範囲が広がることを期待しつつ遠出の準備をした。
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