第35話 要塞主な俺

 俺の要塞? ができたことで一安心したが、見晴しが悪くなったので一長一短だ。

 身の安心安全には変えられないが。


 見晴しが悪くなったのは家の周りをグルリと塀で囲った。

 大人がジャンプしても手がかからない程度の高さで3mにした。いや、NBA選手だったら手が届くのかな? これ以上積み上げるのは強度や日数も考えるときついのでこの程度で。

 木杭を打ち込み芯材にして日干し煉瓦を挟みこむように積み上げた。

 木材だけだと火攻めにあった時に一発で終わるからね。


 塀の上は人が一人ギリギリ建てるぐらいの幅があり、そこには弓打ち人形を3m間隔で配備した。


 弓打ち人形には苦労した。

 まず弓をひく力に腕が耐えられない。これは人形って括りに拘りを捨て腕自体を弓にした。

 照準も付けられない。どういった原理だか解らないが動くものを認識はつくみたいなので、左右の調整は効く。上下については弓なりって言葉がある通り、対象物より上方に狙いを定めなければならないが、弓士はこれを経験で角度をつけているので法則を記述するのが難しい。物理での計算があるのだろうが、俺は知らん。なので、あまり距離を取らないで打つことにより、風や斜度の誤差が出にくくする。そこで、家の周り30m以内に近づく動くものに対して打つように設定する。

 さらに敵味方の識別をつけることが難しい。まあ、ぼっちの強み? で俺以外は撃ちまくることとなる。


 家の塀の30m以内には落とし穴を作り、嵌ると竹串が刺さるようにしてある。竹串には糞便を塗り、バクテリアの生成を促進させてある。ベトナム戦争時にベトナムゲリラがやってた戦法だね。ただ、万一こちらに危害を加えるつもりがないような、遭難者とかが迷い込んできたら大変なので一応30mのラインには柵をしてある。

 まあ、人との邂逅はないのでそんなこともなさそうだが。


 塀の出入口ははば50cmにして、人一人が通れる幅にして木の板で塞いである。扉を作るには丁番が必要だけど作れなかったんだよね。


 それと家本体。

 これも燃えたりすると大変のなので、外壁を煉瓦で囲う。

 屋根もいつまでも葉っぱで葺いているのも如何なものかと思うので板を打ち付ける。簡単な製材が出来るように成ったのが大きい。

 その上からちょっと趣向を凝らし瓦っぽいものを作ることにした。粘土を平板に整形する。釉薬はないのでそのまま素焼きにする。大量に作ってみるが、焼きを入れる段階で大量に割れるので歩留まりは悪い。

 長手方向に桟木を渡し引っ掛けるように下から上に葺いていく。不格好な仕上がりだが、雨漏りはともかく火には強くなるだろう。


 これで安心とは言えないが、少人数の襲撃には対応できるようになると思われる。

 

 そして人形作りや人形に対する命令の書き方のコツが解ってきたのが大きい財産かな。

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