第31話 襲われる俺
襲われましたよ。
ええ。
襲われたことも恐ろしかったんですがもっと恐ろしいことを発見してしまったんですよ……。
ある日狩りしていましてね。
サクサクっと小鹿を倒したんですよ。
おっこりゃラッキーと思ってその場で解体を始めたんですよ。
夢中になりすぎたんでしょうか。
背中に気配を感じましてね。
振り返ったんですよ。
そしたら何かが圧し掛かってきて俺の首筋に噛みつこうとするじゃありませんか。
よくみたら狼なんですわ。
人間危機に陥っていると周りがスローモーな感じになって余計なことも考えてしまうんですね。
解体しているときの血のにおいに誘われたのかしら~なんて悠長に考えてましたよ。
狼の首を引き離そうとしながらね。
そしたら、もう一匹いるじゃありませんの。
圧し掛かっている方は腰に挿してあるナイフで土手腹を刺してやったんですがね。
もうヤバい死ぬ!
って思ってこんな時に魔法が使えたらと思って、ファイヤーボール出ろ、狼燃えろ燃え尽きろ!!
念じましたよ。精一杯。
そしたら燃えました。
なんで燃えたと思います?
ファイヤーボールなんて当然出ませんよ。
真言は降りてきましたよ?
それがね。
ミトコンドリア異常なんですよ。
ミトコンドリアを暴走させるんですよ。
人体自然発火現象ってご存知ですか?
何にもないのにいきなり人が燃えだすってやつ。
小さい子みて萌えるんじゃないよ?
勝手に発火するんだよ?
ミトコンドリアって殆どすべての細胞に含まれていて生物の熱エネルギーを生み出す源泉のようなもので、細胞内に含まれる生物みたいなやつ。
それを俺の祝福【微生物学者】で操作しちゃったみたいね。
状態異常を引き起こすなんて洒落にならないよ。
その火だるまになった狼が逃げて行くんだけど、ここからが本当の修羅場ってやつ。
山火事になるかと思ったよ。
あまり遠くに逃げないでのたうち回って死んじゃったけど。
消火作業にあたった俺も火傷するし、身体は狼の牙や爪で傷だらけだし。
焼けちゃった狼はただの燃え滓だけど、刺した方の狼は毛皮だとかを収穫できたので嬉しかったんだけどね。
使えないから封印だねこの魔法は。
やっぱり俺の祝福使えねえわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます