第28話 人恋しい俺

 俺は会話をしない。


 そうぼっちだからだ。言うまでも無い。


 唯一、俺が操っている人形達に話しかける程度だ。


 「おっ。リカちゃん5号。今日も精がでるね〜」


 「バービーちゃん達。道具は壊れてないかい?」


 「ほっぺ3号。戻ってこないと思ったら足がないじゃないか。狼にでも食われたか?」


 など。


 当然声をかけても返事もしないし、リアクションもしない。

 可愛らしい名前をつけているが猟奇的な顔しかつけていないし、形も不格好だ。

 非常に虚しい。


 偶に言葉を忘れていることに愕然とするが、何も問題ないことに気付き更に落ち込む。


 肉体的には10代後半なのであろうが、精神的には老人に成っている気がしてくる。孤独死の危機感が分かる。


 喋れるバディが欲しい。


 若くてピチピチしたギャルが欲しい。


 いや、ギャルじゃなくても16歳以上30歳未満で構わない。


 でも東洋人じゃないからもう少し範囲を抑えめにした方がいいかな。


 持論だが女は18歳で肉体的なピークを迎え、28歳で色気のピークを迎える。そして性的なピークは35歳だろう。異論は認める。


 それで美人で愛想が良くて細やかで俺を慕ってくれる女がいい。


 いや贅沢は言わない、多少美人じゃなくても可愛くておっぱいがデカければいい。いや最低Cカップあれば十分だ。


 止めどもなくあふれるこの妄想。妄想の中に紛れ込まないと寂しくて死んでしまう。元の世界では一人でも全然問題ないと考えていたがレベルが違う。

 せめて人の格好をした何かに思いをぶつけたい。


 そう俺が傀儡師。傀儡師なんだが……。

 この傀儡師の魔術が間違った方向を向かないように自制しなければ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る