第26話やはり天才な俺

 ヨーグルトで思いついた。


 別に牛乳で作らなくても良くね? って。


 大豆で出来るのよ。大豆で。


 大豆を1日水にさらしてふやかす。それをすり潰す。それを煮立てて濾すと豆乳になる。

 絞りカスはおからになるが、あまり美味しくはないので牛の飼料へ。おからハンバーグか! とも考えたが断念。つなぎがない。

 で、豆乳に乳酸菌を入れて41℃に維持すると、8時間程度で豆乳ヨーグルトになる。


 当然乳酸菌の菌床なんてないので、俺の魔法祝福で乳酸菌を生みだす。

 なにもない状態から菌を生みだすのが殊の外キツイ。

 俺の身体の中にある何かが吸われる感じ、持ってかれる感じがすごい。

 1つを生みだせば、1つを2つに、2つを4つに、4つを8つに・・・と鼠算式に増やせていくのだが。


 乳酸菌培養に必要と思われるだけ魔法で増殖させるとフラフラになる。

 これは人形を2体同時に起動させたときと感じが似ている。


 増殖させた乳酸菌入りの豆乳の鍋に蓋をして風呂の残り湯に突っ込んでおいた。

 放っておくと温度が低くなりすぎるので、たまに熱した石を風呂に放り込んでやる。


 出来上がった豆乳ヨーグルトを食べてみる。

 が、あまり美味しくはない。

 そもそも常温。ヨーグルトは冷たいと美味しいが、常温だとイマイチ。しかも、砂糖もないので。ちょっと酸っぱい豆腐を食べている感じだ。


 鍋を川の水でさらしておくと少し冷えるが、なにぶん鍋が一つだけしかないので不便極まりない。

 ヨーグルトを思いついたは良いが、二度目はないかな……



 しかし、俺様は天才なのだ。

 失敗をそのままにしておいたら凡人、愚民だが、俺様は天才なのだ。


 肉をヨーグルトに漬け込むのだ。漬け込んでおくと筋張った野生の牛や鹿もかなり柔らかくなるのだ!

 ヨーグルトとその辺に生えているハーブを一緒に入れてる一晩。

 乳酸が肉の繊維が解れてジューシーになる。しかも腐敗等の雑菌の繁殖も抑えてくれるので多少の保存にもなる。


 やはり俺様は天才なのだ。

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