第25話入浴に力を入れる俺
自分の臭いって基本わからない。
でもふとした瞬間に気付く。
――あれ? 俺って臭いんじゃね?
と。
地面からものを拾った瞬間、俺の臭いの残像を鼻が捉える。そう、エグい臭い。オヤジ臭?
いや、やっぱり気のせいだよなとクンクン鼻を効かす。臭わない。臭くないことにしたい。
水浴びもしょっちゅうしてるし、風呂もたまーに入ってる。臭くない、はず。
いくらぼっちでも、人と遭遇するチャンスもあるはず。やっぱり第一印象が大事。臭い人とお友達になりえないだろ。
まあ、服がボロボロになってきてるのは仕方がないにしろニオイ対策は必要。
でも、石鹸がないので頭ちょっとぬるっとしている。元の世界ではサングラスかけた森田さんが湯シャンといってぬるま湯で洗うのは頭皮に良いと言っていた。
ちょうど俺もハゲ……もとい薄い髪の毛だから養毛に良いのかもしれないが……
痒い。猛烈に痒くなる。
肌もよく汗をかくので汗疹っぽくなる。石鹸が欲しいが当然そんなものはない。
そこで!
取りい出したるこの材料。
まず、麦のふすま。
麦糠といえば良いのか。まあ同じ物を指す。
次に菜種油。
アブラナもどきの種のさやが茶色く変色してきたら採取し、天日に干す。十分に干したら丸太で作った臼もどきにいれ、杵で搗く。搗く。ひたすら搗く。
それをお湯の中に入れてかき混ぜ、沈殿させると、上澄みに油が溜まっている。
本当は効率のいいやり方があるのかもしれないが知識ゼロでの文系出身者としてはこれしか考えつかなかった。
そして重曹。
重曹の鉱物を砕き、粉状にしてからお湯に溶く。そこにふすまと菜種油を少しづつ流し込み混ぜあわせていく。2〜3倍に膨れ上がってきてボソボソし始めたら木の枠に入れておく。
翌日には石鹸の出来上がり。
米があれば米ぬかで作りたかったが、ないものねだりしてもしようがない。
麦アレルギーの人は一発でアナフィラキシーショックでコロリだな。
石灰岩でもあればちゃんとした石鹸ができると思うが……
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