第22話学者な俺
腹を下しているときに真言が現れるってね。
これって何?
嫌がらせ?
自暴自棄ぎみに真言を唱えてみる。
が何も起こらない。
体力を使い果たし、下半身が汚いままウトウトしてしまう。
小一時間も経っただろうか。
気づくとお腹の調子が戻っている。
食欲も戻っているが、取り敢えずこの臭い中で食べる気がしないので体を洗い、部屋を掃除することにした。
腐敗臭を発している肉は怖いので燕麦のオートミールを食べながら考えた。
さっき浮かんだ真言。あれが回復のきっかけになったんだろう。
治癒の魔法?
いや、胃腸の調子が完全に戻ってるわけでもないし、俺の菊門も火傷したように痛い。
ってことは肉体が回復したわけではなさそうだ。
真言を唱える前に思い浮かべたことは…
そうだ、腐敗菌がどうとか、こうとか。
そうか、俺の祝福
この世では微生物って概念を誰も持っていないようだったけど。
細菌と微生物って厳密には違うんじゃないかな。文系の俺にはちょっと荷が重いけど。
まあ、細菌もウィルスも真菌も全て微生物ってことだな。知らんけど。
思い立ったら吉日。
実験。実験。
(あの憎っくき腐敗肉の腐敗菌を殺菌せよ)
途端に脳裏に真言が現れ、それを唱えた。
肉に近寄り匂いを嗅いでみた。
「くさっ!」
どうやら即効性は無いようだ。
30分後
臭いは薄れてきたがまだ臭う。
60分後
だいぶ臭くなくなってきた。
90分後
「これ。食えそうだな。」
二度と食中りは御免とは思いつつ焼いて食べてみた。
「うん。旨い。問題なさそうだな」
微生物学者の魔法は時間はかかるが生活するには便利そうな魔法だった。
……しかし、翌日はまた寝込んだ。
――腐敗菌はともかく腐敗菌が出した毒素は残ってるのな。
お腹を擦りながら毒素の排出と毒素を分解してくれることを祈りつつ寝台に横たわるのであった。
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