第18話温泉に浸かりたい俺
山頂からの眺めで分かったのよ。
ここって休火山だか活火山ぽいのよね。
だからって早々噴火することは考えにくいけど……
結論から言うと温泉があるかも。
白煙立ち上る場所を見つけたんだぜ。
恐らく家から東に10km程度だと思われる。
直線距離で10kmだとしても、山中を徒歩で進むとなると往復で一日仕事だなこりゃ。
煙が立ち上っている場所は木が生えていないから近づけば分かるだろうけど、温泉の有無は分からんね。
人里に下りたい気持ちもあるがかなり距離があるので準備はしっかりとやらんとね。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ずんずん探索しながら歩いていく。
――もう夕方だなこりゃ。
夜間の行動はできない。
碌な照明具を持ってないし。
未だに焚火のみだしね。
完全に日が落ちる前にビバークポイントを探す。
雨季なので突然のスコールに見舞われるし、崖伝えなので落石等にも注意しなければならない。
獣に襲われないように焚火をするので一晩こせるぐらいの薪も集めなければならない。
俺が遭遇した限りのこの世の危険性物と言えば、毒蛇、毒蜘蛛、蠍、熊、猪、狼とこんなところだろうか。
岩場には蛇がいるので要注意。座っている間にも頭陀袋に入っていたりする。
夜間は狼だろうか。森が途切れた場所なので猪や熊はあまり近寄ってこないと思うが、狼はとんでもなくテリトリーが広いからね。
――こりゃ丁度いい。
岩が張り出しその下に2~3人座れる空間が空いている。
棒を片手に転がっている岩をどかして蛇なんかがいないか確かめる。
――今日はここで一晩明かすか。
鹿の皮を敷き、薪を積み上げ簡単な食事をして座りながら仮眠をする。
――なんだ?
夜空には満点の星空がみえ、満月に近いので月明かりもあり視界は開けてる。
遠くの方で岩がぶつかり合う音、そうなにかが岩場を歩いている音がかすかに聞こえてくる。
それも一方向からではなくあちこちから聞こえてくる。
焚火に追加の木を投げ入れ、腰に巻いた鉈の位置を確認し、弓を構える。
複数の光を反射した網膜がこちらを向いている。
――何匹いるんだ? 二桁ぐらいいそうな数だな。鹿だと人に近寄ってこないしもう少し頭の位置が高そうだしな…… 野犬か狼か?
今まで狼とは何度か遭遇したことはあるが、遠方だったり、単体であったりでこちらに気づくとすぐに逃げ出してしまった。
種類はよく分からないが、体高は俺の腰の位置ぐらい、胴体は1mチョイで全体的に灰色っぽい毛色をしている。
基本的に野生動物は弱いものを狩りにいく習性があるので、こちらが油断しなければ大丈夫なはずだ。
こんなところにぼっちでいるだけで弱そうだけど……
大声をだしながら威嚇をする。
「ほら! 向こういけ寝れね~だろ! この犬っころ!」
火のついた棒を投げつけねぐらにもどりいつでも弓を構えられるように座る。
狼達はそれほど執着せずにいつの間にかどこかに消えていった。
俺はまんじりと日が昇るのを待った。
翌日探索を開始すると、間欠泉のような場所はあったが、残念ながら入浴できるような温泉は無かった。
そうそう上手くいくことはないのであるが……
収穫もあった。
まず、湯の花。恐らくここの温泉は
雨の当たらない場所で針山に結晶が伸びているものを発見した。その昔、親と家族旅行に別府温泉の
で、温泉の帰り道で、粘土層や、灰白色の鉱床があった。
それぞれ場所を確認記憶したので今後の採掘と調査に期待するとしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます