第17話登る俺
家近くの木に登っると近くに小高い山が見える。
中腹で黒曜石が取れる山だ。
今日は山頂を目指してみた。
ウロウロしながら足場を探しながら。お弁当を持って。
お弁当と言えば納豆を持ってきている。何故かと言うと……
豆を栽培して少しずつ収穫できるようになってきた。しかし、豆はそのまま食べると吸収しづらいのかあまり身にならない。つまりそのまま排出される。コーンと一緒で形がそのまま排出される。
なので、煮てすり潰したり、枝豆のように青いまま食べたりする。
鹿の燻製を作ろうとしたときに、煮豆をあとで加工しようとバナナの葉っぱにくるんで囲炉裏の上の棚においておいたら腐ってた。腐ってたんだが匂いが納豆の匂い。食べても納豆の味で腐敗している感じがしない。お腹も痛くならない。
つまり納豆ができたのだと。
――納豆って藁じゃなくても作れるんだな。
この発見は大きい。食事のたびに煮豆を作るのはめんどくさい。ぶっちゃけその時間があったら他のことに回したい。一度に大量の煮豆を用意し納豆になってくれれば、それはそれで嬉しいことだ。醤油は無いが。
納豆革命後は手軽な行動食、お弁当として納豆を持ち歩くことになったのだ。
そんなこんなでやっと登れそうなルートを発見した。
ルートを探しているうちにこの山自体に様々な鉱物があるような気がしてきた。ある部分は茶褐色の石が露出していたり、黒や白い石も転がっているのを見つけたりもした。
岩の種類なんてわからないし、すぐに掘れそうな場所には無いために物欲しそうに見るだけではあったが。
まあ、人が入らないので当然登山道なんてものはないので、一步踏み外すと転落しそうなところばっかり。
途中からはかさばる弓や斧なんかは置いて両手でしがみつきながら登ることにした。
山頂は木々に囲まれていた。
森林限界ではないってことではあるが、折角登ってきたのに少し寂しい。
所々崩落して見晴らしが良い所もあるのでそこから眺めるとこうなる。
北側は遠くに海が見える。
西は森が続いている。
東は更に高い山が続いており視界が悪い。
そして、南側は家がある方向。其の向こうには平野っぽい場所があり、街がありそうな雰囲気がある。
塩も欲しいが次の目指す方向は南だな。
なにぶんぼっち生活も1年余。
ぼっち耐性が強い俺でもさすがに寂しい。
話し相手が猟奇的な顔をした人形とか夜の恋人ミギーさんとかで自分を慰めるのもそろそろなんとかしたい。
なんとかしたい……
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