第15話増産する俺

 季節は春から夏にそして秋から冬に。

 この世界の季節の変動はあまり無いようだが、気温なんかは少し変動はあるみたい。


 春は花が多く咲きまさに春って感じ。気温は28度ぐらい。

 夏は雨季。滝の様な雨が一日に2回ぐらい降り注ぎ、35度ぐらいで蒸し暑い。

 秋は果物が多く結実し、陽気で過ごしやすい。

 冬は乾季。雨がほとんど降らない。気温は25度程度。半袖で十分過ごせる。


 沖縄よりもう少し赤道よりな気候なのだろうか。


 家の周りは山間部で森林地帯のようで乾季に入ると多少落葉する程度。

 動物も冬眠することはない様子だけど乾季になると食べ物が不足しがちで痩せている。そして攻撃的になってくる。


 ほぼこの世界で一年を過ごしたわけだが、俺の家の周りもかなり変わった。


 畑の広さが倍になり、家の周りをぐるっと獣よけの柵が回っている。腕の太さぐらいの丸太杭を2m間隔で打ち込んで横に三本の丸太を渡している。結束は樹皮で作ったロープ。

 畑の土の状態はそれほど良くない。元の世界の畑で見られたような黒い土ではない。粘土のような土質。これはどうすればいいんだ?


 荒れ放題だった家の屋根も製材できないため板では葺けなかったがバナナっぽい大きな葉っぱを何枚も重ねて葺いている。


 そして人形類。

 相変わらず人形類の制作精度が良くなくて単一の行動しかできないが工程の種類が増えるたびに人形を増やしている。


 まず、リカちゃんシリーズの畑仕事人形。

  リカちゃん4号は耕す専用。耕す鍬の部分に黒曜石を使い鍬入れの強化を図ってます。

  5号は穴掘り専用とし、地中障害になりそうな石や木の根を掘り出す。

  6号は採取専用。芋を優しく掘り出し収穫する。

  7号は麦刈り専用。そうそう麦の栽培に成功したので作ってみたもののほとんど出番がない。

  8号は豆収穫専用。豆も栽培に成功したので作ってみたがこれもイマイチ。

 3号はどうしたって? あれから間もなく壊れました。ある日、地中にある岩と格闘して、岩に引っかかり前転宙返りを披露し、そのまま動かなくなりました。


 次にバービーちゃんシリーズ。

  バービー1号は黒曜石斧を装備し、横回転しながら斧を振り回し木を切り倒す。

  2号は枝をうつ。

  3号は斧で4mぐらいで木を寸断する。

  4号は打ち払われた枝を回収し屋根がついた薪保管所に運搬する。


 残念ながらまだ太いマルタの運搬に耐えられるだけの人形が製作出来てはいない。


 次にほっぺちゃんシリーズ。

  ほっぺ1号は黒曜石を砕く。岩を持ちひたすら砕く。砕いて人の頭大に砕く。作業故に損耗率は高い。

  2号3号は頭大の黒曜石を家の集積所まで運搬する。

  4号は集積所で鏃の制作。

  5号は鏃を精度を高める細かい作業を行う。

  6号はロープにできる木の樹皮を剥ぎ、7号はその樹皮を集積所まで運搬。

  8号はロープを撚る作業。


 こんなところか。

 人形は全部で15体。

 まだまだ作業は多くあるが相変わらず工具がショボイのでこれくらいしか作れない。


 尚、人との遭遇は未だ成らず。

 どんだけ山奥にいるのか。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る