第13話黒光りする俺
見つけましたよ黒曜石。
こんなご都合主義があるもんですね。
イノシシの悪夢が遠い記憶に包まれて、なんとか恐怖の呪縛から解き放たれたときに新たなるフロンティアに旅立つ決心をしましたよ。
とカッチョよく言ってみました。
家の近所の一番高い木に登ると結構近いところに山頂が見えたんですね。
あるいはそこに行けば周辺事情が分かるかもって。
この身体に住み着いてはや半年。
そろそろ人恋しくなってきましたね。
樵人形の制作もあまり進んでませんし。
鋸が欲しい。
で、ちょっと登山としゃれこんでみました。
3時間も登っていくと視界が開けてくる。
左手に広がる原野。右手には崩落した崖がありそれ以上はこのルートでは登れなさそう。
原野にはずんぐりむっくりとした牛みたいな動物が30頭ぐらいの群れで草を食っている。
変に手を出して反撃されると様子見です。角がしっかりしている雄っぽい個体がこっちをみて警戒をしているっぽいのでそっと離れます。
崩落した崖に近寄ってみるとキラキラした黒い石の斜面が確認出来ました。
――これってもしかして。
そう黒曜石。うっかり手で触ってみたら切れてしまい血が出てきた。
――どうやって取り出すか。
大きな岩の塊か小さな破片しか見当たらない。石を叩きつけて砕きながら採取していくと適度な大きさに割り砕く事が出来たが、破片をうっかり持ってしまうと切れてしまうことがあり袋に入れるときには慎重を要した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――牛みたいな動物を一頭でも倒せると食糧事情が改善するんだけどな。
また、後悔しそうなことを思っていると牛が移動し始めた。
先頭を行く雄牛が群れのリーダー何だろうなと思いつつ小走りに追ってみると、子牛が牝牛に寄り添いながら走っている。
――あの、子牛を狙えないかな。
スピードを上げて子牛に近づいていこうとすると此方に気付いた牝牛がこちらに振り向き雄牛より短い角で威嚇してくる。
――今日のところは準備もしてないし難しいね。
牝牛を刺激しないようにゆっくりと後ずさりして距離を取っていく。
――まあ、収穫もあったしこんなところだろう。
黒曜石を採取出来たしもう少し探索できる範囲が広がればもっとましな生活が出来そうな気持ちがわいてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます