第10話3号な俺
「こんどは頼むぞ! りかちゃん3号」
畑に出して真言を唱え命令を下し、様子を見る。
「……順調じゃねえか! 」
りかちゃん3号の腕が突き出て土の中に刺さり耕していく。
順調に動く様子を飽きずに見ていたが、特に問題もない様子。耕した後の土を手に取るがあまり程度の良い土には思えない。今後何か土を肥えるようなことをしていかないといけないな。
しかし、ぼけっと見ている暇はない。食糧が乏しいのでいつもの木の実が茂っているポイントに採取する事にした。
「筍の時期は過ぎたしな~。木の実も取りつくしたり、季節が終わると早晩詰むな。……しかし、今日は頭が重いな。」
今晩の食事分を採取し畑に戻ってみると、結構耕せている様子である。
「お! りかちゃん精が出ますな~」
軽口をたたき近くに寄ってみると、小さいじゃが芋が散乱している。
「なんだこの小さいじゃが芋は……」
耕した場所をみると自分が耕しじゃが芋を埋めた場所だった。
「うぉ~~~~」
――俺の労力とじゃが芋を返してくれ……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
失意の中でベッドにもぐりこんで考えてみた。
りかちゃんは昼夜関係ないので畑仕事に精を出している。
――まず、頭痛。動く様命令すると頭痛がするけど魔力的な何かを使っているのかね。
寝れば治るので特に気にはしていない。火種の魔術をいくら使っても頭痛にはならないので魔力量が違うのかもしれない。
――それと、細かい命令を出来ないものか。人工知能とまではいかないがプログラミングできれば遂行する命令の幅が決められるのに。
りかちゃん3号の細かい命令を日記の紙を切り離し整理してみた。
・畑と定めた隅に4つの杭を打ち、その内側を耕し畝を作る。
・作物を植えた場所と収穫した場所を記憶する。
・植えた場所は耕さない。
――これを命令できれば楽になるのに……
書いた紙をりかちゃん3号に貼り付けつつ真言を唱えてみた。
スッと吸い込まれるような感覚があり、うまくいったように感じた。
――なんか、大丈夫そうだな。
家に戻り月明かりが零れる屋根を見上げつつ目を閉じた。
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