第7話名乗る俺

 おっすおら信吾!!

 えっ? 今まで名前を名乗ってなかったって?

 それは失礼。

 おらの名前は【村上信吾】。

 元? の世界は37歳でどうやら幕を閉じたようだ。

 今? の世界の歳はわからねえ。成人はしたようだ。毛も生えてる。

 そして名前もしらねぇ。元貴族っぽい。

 改めてよろしくな。


 えっ? りかちゃん?

 う~ん。止め方が良く分からなかったから棒でつまんで焚火にファイヤーしちまったよ。

 名誉の殉職ってやつだな。

 うんうん。


 おかげで寝不足だかなんだか体が重いようだ。

 頭もガンガンするし。

 まさか元の世界に戻るんじゃねえだろうな。


 ともあれ、俺の祝福【傀儡師】の使い方が何となく分かった。

 四肢が動く様に作らないといけないようだね。


 食料調達の時間が許す限り、人形作りにいそしんでみようか。

 とはいっても食料も残りわずかだし、木も乾燥させないといけないから当分先だね。



 木を必要分切り倒し、川に向いもう一度追い込み漁にチャレンジしてみる。

 今度は3匹の良い型のニジマスのような魚が獲れた。

 塩も補充できるか分からないので塩は控えめに振ってみた。味気ないが久しぶりの肉の味は栄養失調気味の身体には沁み渡った感じがした。

 全て食べてしまうと勿体無い気がして一匹は内蔵を取って家の中に干しておくことにした。家の中が若干生臭くなったのは仕方がない。



◆  ◆  ◆  ◆  ◆



 久しぶりのまともな食事を取って動く気になったので周囲の状況を把握してみる。

 アケビっぽい果実(鳥に食べられて殆ど実がない)やマンゴーらしき実(非常に小さく甘みはほぼない)が自生しているのを発見してかなり気分が良かった。

 嬉しい発見のもう一つが竹が自生していたことだろう。

 時期的には春なのかもしれない。タケノコがニョキニョキ生えていて思わず両手で地面を掘り返してしまった。御蔭で筍の皮に生えている産毛? が肌にささってちくちくして痛かった。

 1本持ち帰って皮付きのまま焼いてみたらちょっとえぐみがあったがホコホコして美味しかった。

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