第6話りかちゃんを愛でる俺
さて、俺の祝福とやらのことを考えてみる。
火種の魔術が使えるってことはこの世は魔法が使えるってことなんだろうと思う。
その中で
傀儡師は人間を操るのか他の生物を操作できるのかそれとも人形を動かせるのか。
ここは人里離れているようだし、他の人間と邂逅したこともない。動物も影は見えるのだが、基本野生動物は怖がりっぽいので近づいてこない。来られても困るけど……
一番簡単に試せるのは人形かな。では今日の夜から小さい人形のようなものを作って試してみるか……
それと微生物学者ってのは?
この世では微生物って理解できない様である。それが元で追われたようなもんだし。
でも細菌って地味じゃね?
せっかく魔法がある世の中なのに火の玉とかだして遊びたい。っていうか生存競争に打ち勝つために使いたい。
でも、発動条件が分からない。覚えているのであれば火種の魔術といっしょで真言が頭に現れるはずだしな……
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
夜の帳が下りて焚火の明かりで小さな木材をナイフで削りだす。
そう、小さな人形らしきものを作成中だ。
いきなり複雑なものなんて作れないし、祝福【傀儡師】が人形を操るものではない場合、無駄な労力になるからね。
簡単に手足と頭に模したものを削りだし、命名【りかちゃん】とした。
「さあ、りかちゃん動け!歩け!ほら進め!!」
はたからみたら相当怖い光景だと思う。
念じてみるが当然動かない。
――やっぱり駄目か…そりゃそうだよね。
根を詰めてずっと木を削っていたためかなり喉が渇いていることに気付いた。
――もう夜中だしな。眠いし。湯ざましがなべに入っていたけど面倒くせ~。ほら。りかちゃん取ってこい。な~んて。
いきなり脳裏に真言が下りてきた。
それを思わず呟いてみると、りかちゃんががたがた震えてきた。
ガタガタガタガタガタガタ……ガタガタガタ……
「こわっ……いきなり人形が動くってホラーじゃね?」
ポルターガイスト現象のように左右に震えだし、バランス悪く倒れてしまってからもガタガタ震える。
――手足が駆動しない為に動けないんだな。でもどうしようどうやって止めればいいんだ?怖くて触りたくねぇよ~。
こうやって夜も更けていくことになった。
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