第3話魔法を使う俺

 「何だよ火種の魔法って…」


 日記を読みながら思わず声が出てしまう。

 火種の魔法のことを思うと突然思い出す。


 「へっ!?」


 火種の真言が頭に思い浮かび、何気なく竈にくべてある薪につぶやくと火が起こされた。


 「うぉ!すげっ!魔法ってマジかよ!なんか記憶もある程度、頭に残っているみたいだな……

  俺魔法使いかよ~!」


 火種ぐらいで喜べるかどうかは分からないが可能性があるって素晴らしい!!


――他に魔法を覚えて無いのかな……


 思い出せない……

 何かきっかけが無いと駄目なのかもしれない。


――あとは、傀儡師パペットマスター微生物学者マイクロバイオロジストってやつか


 何が起きたか未だによくわからないが活きる為に何かしないと生きられないってことだな、と思いなおし当面の食糧を探す。


 

 家探しすると、二重床になった収納庫にはじゃが芋やニンジン、麦等の穀物が少量。塩が小さな袋に二袋。道具類が斧、鉈、ナイフ、ロープ、なべ、皿、籠、裁縫道具とわびしい限り。


――ほとんど直接子殺ししたくないための実質見殺し状態だな


 近くには町が無い様だし独力で何とかするしかないな。





◆  ◆  ◆  ◆  ◆




 数日間は、食糧調達に必死に駆けずり回った。


 山に入れば、山菜や木の実、薪の調達。

 そして、少し家から離れた場所に罠を仕掛ける。

 罠と言っても麦を少量まいて籠につっかえ棒をして、棒が倒されると籠がかぶさる程度の罠。

 落とし穴を掘ろうと思ったけど、スコップが無いのであきらめた。猟をしようにも弓も槍もなにもない。道具が決定的に足りない。


 家の横にある、畑というなの荒れ地を何とかする。少し耕し、じゃが芋を植えてみる。収穫できるのは2~3ヶ月後だとしても将来に向かって対策しないと暗い未来しか見えないからね。


 正直自分一人だと時間がかかりすぎてしょうがない。


――どうすれば楽になれるのか……


 思い返すと社畜人生の方が楽だったんでは。仕事は辛くとも食う分には問題なかったし、数日サボっていても上司にチクチク言われる程度。何も考えなくても指示通り動いていれば 生きていける世界だったしな……

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