第2話日記をよむ俺
4月1日
成人すると日記をつけるのが貴族としての嗜みのひとつだと父上が仰っていたのでこれを記す。
4月2日
明日は成人の儀を行うので楽しみだ。
良い祝福が得られると嬉しい。
父上の助けになれば認められるだろう。
4月3日
ちくしょう。なんでなんだ。
4月15日
明日からはここで暮せないと父上に告げられた。
教会に知れるとこの身が危険だという。
死んだことになるらしい。
4月23日
どこか遠く離れた場所の様だ。
周辺には町もなにもないらしい。
残念だがここで一人で暮らしていくしかないようだ。
4月24日
俺の祝福はずいぶんと特殊らしい。
まず、
そして、
そもそも二つの祝福を得るのが非常に稀であり、しかも今まで発現したことのない祝福らしい。
細菌とは何だかわからないので神父に聞いても難しい顔をして、
「これはもしかすると悪魔の業かもしれぬのぅ」
とか抜かしやがる。
分からないなら分からないで言えばいいのにどんどん詰めて聞いていくと逆切れを起こしやがる。
あげくに、
「悪魔じゃ!悪魔の子じゃ!今から10日以内に身罷らなければこの世に厄災が起こるであろう」
だと。
父上は顔お真っ青にして
「承った」
と仰るし。承るな!!
4月26日
まあ、なんやかんやあって、俺は死んだことにしてここに暮らすとこにした。
最初に持ってきてもらった食料ものこり2週間もあれば尽きてしまうだろう。
何とか食べ物を得られるようにならなくては。
4月29日
火種の魔術はスムーズにできるようになった。
祝福の傀儡師はどうやって発動するのか分からない。人をあやつれるのかな。
細菌学者もさっぱりわからん。細菌ってなに?
4月30日
突然何かの記憶が僕の頭を駆け抜けた。
見たことがピカピカな塊が凄い速さで駆け抜けていったり、石でできた大きな塔のような建物にたくさんの人が入って行っている。俺もそこで何かの作業をしているようだ。
5月3日
具合が悪い。
頭が割れそうだ。
だが、食べ物を得るには外に出ないと。
薪も残り少ないし。
……ここで日記は途切れていた。
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