繋がれた午後

 くたくたになった手足引きずって

 一歩踏み出すのさへ億劫で

 あくびばかり出る


 体の大きさ目一杯の小屋で

 その小屋の下の気持ちの良い日陰で

 そう ここがお気に入りの場所


 いつの頃からだろう

 いつだって飛び回るのが好きで

 しっぽをブンブン振り回すのが好きで


 首輪なんか無くったって何処にも行きやしないのに


 目の前を気取ったアイツが歩いてく

 自由のカタマリみたいなアイツ

 足音も立てずにすうっと通り過ぎていく

 挨拶もなしに知らん振り


 どうしても見てるとムカついちゃうから

 あっち行けよって こう言う時だけは本気で

 羨ましくなんてないのに

 羨ましくなんて そんな事


 何も無いぽーんと放り出された午後

 ぺたんと冷たい土で体を冷やして

 ああ本当に何もする事がないなぁ


 あくびばかり出る

 あくびばかり出る

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る