午前二時の憂鬱

 今にも崩れ落ちそうなうらぶれた医院

 その窓は幾人の悲鳴をその胸に収めたのだろう

 その壁は今でも白く

 まるで何かを塗り潰したかのように白く


 空をイトマキエイが泳いでく

 ディスプレイには流行のアイドルの歌

 誰も見ていない

 誰も気付かない


 真昼の観覧車はネズミ達が動かしている

 高い高いビルの上で

 何も知らないネズミ達

 くるくる回る暗い部屋


 そんな知らない仕組みで街は生きている

 うらぶれた医院

 誰も見ないディスプレイ

 ビルの上の観覧車

 そして… そして…


 定められたレールを走る夜行列車

 いつしかレールを外れて銀河旅行

 月の世界に行きたいな

 どうか月まで連れてって


 発射されたミサイルが海水浴を楽しんでいる

 ああ 水着を持って来れば良かった

 イトマキエイがまた浮上するよ

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