海月の夜

 月の光がやさしくやさしくこぼれてく

 薄いベールに包まれてほら

 あまりに完成された風景


 まるくまるく

 ゆらゆらゆれて

 海の月は黙ったままで


 波の音も聞こえない洋上で

 僕は何を語ろうか

 このやさしい月のひざしに

 いつの間にか目を閉じていた


 暖かくもなく

 寒くもない

 ただゆらゆらゆれている

 あの海月たちのように


 産まれる前の景色

 産まれる前の感覚

 ずっと昔に忘れたと思ってた

 なつかしくてあたたかい

 この海に抱かれながら


 銀の光に射抜かれて

 不思議の世界に旅立つよ

 まだ誰も知らない

 月と海とそれぞれの物語

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