第13話 小さな音楽家の話 3
は……?
僕らは皆固まっていた。
最初に復活したマリアが吠える。
「ちょっと!何言ってるの!部活はどうするのさ‼︎」
「やめるわよ。それはここに就職できなくてもだけどね。」
「どうしてよ!あなた、王立音楽団にはいるのが夢じゃなかったの⁈あそこは音楽部からのオーディション通過した人しか入れないってしってるでしょ!」
「もういいのよ。今回の事をね、そこの現団長に助けてもらおうと話したんだけど当たり前っていったのよ。音楽は貴族の楽しみだ。平民が触れていいものではないってね。団長だけじゃない。ほとんどの団員がそうだったわ。そんなところに入りたいって思ってたのが馬鹿らしくなったの。」
リース嬢の発言に皆押し黙る。
まだリース嬢の言葉は続く。
「もちろんそうじゃない団員もいたわ。その人から教えてもらったんだけど同じ時にオーディション受けた平民の方は自分より上手だったのに落とされたそうよ。だから辛いっていってた。その友人が演奏を聴かせてっていってくれなかったらきっともう団員じゃないって、そういってた。」
「このことをマリアに話して謝ろうって思ってたら演奏できてるっていうじゃない。自分の楽器も持たないマリアがよ?だから気になったの。」
「そしたらこんなに楽しそうに演奏してるじゃない。楽しそうに仲間と作り上げた。そんな演奏だったわ。私もその演奏をしたいのよ。だからお願い。私もここで働かせてくださらないかしら。私にも楽しく演奏する場所をくださいな。」
リース嬢は言い終わると僕をまっすぐ見てきた。
マリアが何か言おうとしたのを手で制し、僕は口を開く。
気がつけばもう閉店時間間近だ。
周りを見れば他のお客さんはもういない。
とりあえず本音行っとこうかな。
「とりあえず、僕は君を雇うつもりはない。っていうかマリアも雇うのはそろそろ終わりって考えてたんだけど……。」
「「えっ!?!?!?」」
「ち、ちょっと‼︎」
「ど、どういうことですの!?」
「まあまあ、最後まで聞いて、ね?」
ーーーーーー
僕の考えを一通り説明した。
まずマリアのこと。
マリアは僕らの店の店員として演奏してくれていたけど、これからは外注扱いで演奏してもらうっていうだけでこれからも変わらない。そしたらそこらへんの吟遊詩人と同じだからね。
まあ、そこ話さないとただの解雇にしか聞こえないよね。わざとだからいいけど〜。
そしてリース嬢のこと。
まず貴族令嬢を働かせるっていうのはそもそもハードルが高い。バカ貴族に対する扱いじゃないとかほざかれかねない。
だこら雇う形は無理。そしてマリアを雇う扱いから外すのはその逆の平民は雇うのに貴族はダメなのかっていう文句を避けるためっていうのもある。貴族って勝手だよねー。実際そんな話は前聞いたから気をつけなくちゃ。
まあそんな感じていくつか障害があるから、それを躱すか、排除しなくちゃいけない。
「ここまではわかるかな?」
2人は頷く。ちょっとマリアの仕草が不安だけど……。
多分大丈夫……だよね?
「だからさ、ーーーーーー」
僕の提案を聞いた2人の顔はとても強い驚きと大きな期待に満ちていた。
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