第3話 可愛い音楽家

「ねぇ!リョウ!今日デュエットしよーよ!」


こいつの名前はベラ。こいつも地球出身の自称妖精だ。こいつも僕と一緒にこの世界へ来た。こいつも一緒に宿の運営してる。僕のトロンボーンに宿っていたんだけどこの世界に来て存在がトロンボーンから独立したって言ってる。


本当かどうかは知らないけど、日本のネタがわかるみたいだから地球出身なのは認めてる。


こいつの成り立ちは僕がトロンボーンを愛用したからトロンボーンに生まれた自我が、さらに強くなって生まれたらしい。どんな存在にも意思が宿るっていう日本の言い伝えみたいなやつ、こやつが証明しました。


こいつは3階建ての宿の一階で音楽をお客様に提供している。僕とデュエットもよくやるんだ。もとは僕のトロンボーンだからなのかな?僕とすっごく息が合う。ベラとアンサンブルコンテストに出ることがあったら多分いいとこまでいくんじゃないかな。


宿は3階建てのうちに2階、3階は宿の客室で、一階に僕らそれぞれの部屋と、食事ができるレストランスペースがある。


そのレストランスペースに僕のお願いでじいちゃん時代からよく演奏してる。この世界は音楽がそんなに発展してないから最初はトロンボーンしか演奏できなかったけど今ではいろんな楽器を自作して使ってます。幸い、僕が音楽好き過ぎなせいでほとんどの楽器の仕組みがわかるからいろいろ作れたんだ。お金はかかったけど…。



ベラは炊事洗濯掃除は何一つできないから演奏しない時はウエイトレスとして働いている。

ローズと違って背が小さい可愛い系で、こいつも結構人気だ。「ベラちゃんを見守り隊」っていう組織ができるくらいだ。いろいろ危ない匂いがする集団で、街の衛兵の方に聞いた話だと監視対象らしいけど。


「ねぇ、聞いてるの?」


もちろん聞いてますとも。って答えたらウソだ。って軽く叩かれた。いてて、バレてたみたい。


今日はどの曲をやるの?


「さっきお客さんからリクエストもらったの。これをやろう。」


そう言って渡されたのはこの世界に来て初めて二人でデュエットした曲。もともとはトロンボーン8重奏の曲だけどピアノとトロンボーンのデュエットに僕が書き直した曲だ。日本を想う曲で本当はチャリティーのために書き上げられた曲なんだけど僕らは日本を思い出すために演奏した。今ではそんなこと関係なく、人気な曲だからたまに演奏してる。


よしわかった。準備しよう。ローズ、厨房は任せた。



Ladies and gentlemen、and boys and girls、皆様大変長らくお待たせいたしました。僕とベラのデュエットステージ、開演です。

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