鎌池和馬 『とある魔術の禁書目録』
今回語るのは上記の通り。
今更説明は不要なビッグタイトル。
それはSAOや劣等生が台頭するまでの長い間、ライトノベル界の最大派閥である電撃文庫――その頂点であり続けた超大作。
それが「とある魔術の
僕がその原点たる「とある魔術の禁書目録」に出会ったのは色を知る前の学生の頃。暇を持て余して深夜アニメというカルチャーに出会った頃だ。
その頃の深夜アニメ界は今とは違って、「涼宮ハルヒの憂鬱」のブームを受けてか俗に言うセカイ系と呼ばれるジャンルとそれに纏わる謎部活系が席巻して幅を利かせていた。
ジャンルの体系的な知識や詳細についてはウィキペディアでも見てればいいと思うが、受け取り手の感想としては今と変わらず単一に感じられてつまらなかった。
どの作品も基本的に語り部たる主人公は何処にでもいる平凡な男子高校生かつ所謂ヤレヤレ系で、ヒロインは主張の強いツンデレ美少女というのがトレンドだったと思う。追記すればライトノベル原作のアニメのヒロインは大体釘宮理恵さんだった。
そんな女尊男卑の風潮が氾濫するアニメ界に辟易していた僕に注ぎ込まれた珠玉の男、名は上条当麻。
彼は日常パートにおいては前述のヤレヤレ系男子高校生の域を出ない男ではあるのだが、彼にはキョンの劣化クローンの有象無象共には無い特別な一面があった…。
俗に言う「男女平等パンチ」である。
どうでもいいラッキースケベに溢れる日常では無く、バトルパートにおいてこそ彼は眩く光るのだ。
相手の立場とか主張とかをその脆弱な身体に一身に受けてから、直球で青臭い理想論と決め台詞を叫びながら拳を叩き込むのであるが、そこに一切の容赦や遠慮は無い。
相手が男であろうと女であろうと性別に関係無く拳を振り抜く。時には頬を、時には顎を。カタルシスが半端ないほど豪快に殴り飛ばす。
轟! ノーバウンドで十メートルほど吹き飛ばすのだ。
うん。爽快。
後は舞台設定も普通にロマンがある。
科学の力で人工的に開発された「能力者」の学生達が住む街である「学園都市」。
覆せない絶対的な能力の格差と思春期真っ只中の学生故に生まれる人間ドラマと普通から溢れた「暗部」と呼ばれる闇の住人達。
そこに絡んでくるのはヨーロッパを基本とした宗教結社に所属してたりしなかったりする「魔術師」の数々。
なにこれディテールが凄い。深い!
僕が寝る前にしている妄想はこんなに仔細な設定を持たない。浅いわマジで。
長期に渡って刊行されているシリーズなのでストーリーをずばっと簡潔に言うことは難しい。上条さんが「そげぶ」と共に拳を敵に叩き込む話並にふわっとした感じになる。
なので今年に放映予定のアニメ三期に含まれそうなお話を適当に挙げて締めたいと思う。
多分フランスが物理的に切り裂かれたり、イギリスが大変な事になったりするはずだ。
後はカフェで花女を叩きつけたり、背中に翼を生やしたり冷蔵庫が活躍したり、放映出来るのか謎だがロシアを舞台に第三次世界大戦になるはずだ。あとターミネーちゃんも出てくる。
そういった物理的な修羅場を潜り抜けることで主人公の少年は結構人間をやめることになる。割とイージーに腕が取れたり生えたりする。最終盤の写輪眼並のインスタントさである。それは言い過ぎだな。もうちょいドラマを挟んだりする気がする。
さて…ここまで適当に列挙して説明してきたけど普通に意味分からんな。ヨーロッパ近郊がヤバイことしか伝わって来ないわ。
閑話休題。
とは言え、結構巻数が出てるから原作にはなかなか手を出し辛いし、新規の方においそれと薦めにくい所はあるけれど、「烈火の炎」的な少年漫画が好きなら多分楽しめると思う。
なのでアニメから入るのがオススメだ。特に一期はいい。
アニメで原作一巻分に相当する六話までを見てピンとこなければ、この作品は貴方には合わないので視聴を辞めていいと思う。
逆に声を出すほど興奮して、上条さんの説教を暗記する程リピートした人は是非最新刊まで読んで欲しい。オティヌスと食蜂が大好きになるから。御坂? インデックス? 確かに可愛いんだけどなあ~ってなる。多分。
今までに無く途轍もなく露骨な宣伝感があるが、生憎僕は電撃文庫とは一切の関係が無い田舎者であるので一銭も入ってこない。悔しい。
そんな僕の懐事情はさておいて、「とある魔術の禁書目録」が一つの時代を築いたコンテンツであるのに間違いは無いので興味があったら読んでみて欲しい。
ちなみに僕は大覇星祭編が一番好きです。
あ、次回はなんにしようか…「スパイラル」か「プラネテス」か。なんか漫画で行きます!
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