音楽編

BUMP OF CHICKEN

 皆さんは今迄生きてきて、こんな質問をされたことはありませんか?


「○○って普段どんな音楽聞いてんの?」


 そうあれです。概ね大抵の人が死ぬ鬼門の如き修羅めいた設問です。

 音楽に詳しい人もマニアックな音楽を聴く人も、音楽に全然興味の無い人も平等に皆死ぬアルマゲドンみたいなアレです。

 問われた側とインタビュアーの音楽的知識の擦り合わせが試される、マジで誰得の質問です。


 そこでマニアックなアーティストを挙げれば『誰それ』と引かれ、逆に誰もが知ってるポピュラーアーティストを挙げれば『あんまり音楽聞かないんだね』と失笑の挙句小馬鹿にされるクソみたいなやりとりである。


 ちなみに僕はこの質問をされたら八割位は今回のタイトルのアーティスト名を口にします。するとほぼ全員から『あーわかるー。○○ってそれっぽいもんね』と謎の同調を頂く。そしてその度にお前に俺の何がわかるのかと内心で羅刹の如く憤慨し、悪鬼の如く反発します。心の中で。


 なんにせよそれ位好きです。


 余談混じりの自分語りになり、皆さん恐らく興味は薄いでしょうが、僕は今迄それなりに音楽という趣味に時間と資金を割いたつもりなんですよ。


 そんな薄っぺらい人生の中で『俺が歌詞書いたのかな?』と残念な脳が思い違って錯覚したことのあるアーティストが三人程います。


 まず一人目は超飛行少年の小林光一。

 長らく活動休止をしていたのですが最近名前を英語にして活動再開してます。

 社会に蔓延する「当たり前」に適応出来ない青年の葛藤全開なので、現状の生活に息苦しさを感じる方に是非聞いて欲しいです。


 続く二人目はAoの安田貴広。

 現在活動休止中(※執筆当時)のアニソンアーティスト藍井エイルさんに楽曲提供とかしてるのでひょっとしたらご存知の方もいらっしゃるかも知れませんね。

 これもマジでオススメなので、人寂しがりの孤独主義の方は一度『トワイライトシンドローム』で検索してみてください。多分あるある体験の同調が出来ます。


 そして最後になるのがBUMP OF CHICKENの藤原基央。


 その音楽は中学生の頃から聞いているけど、当時から現在に至るまでもしかして俺はBUMP OF CHICKENの作詞担当してるんじゃないか?と可哀想な錯覚を何度も味わうことになる元凶。なんならその手の業界における不動のトップアーティスト。凄い。ホントすごい!


 てな具合に僕の内面性においてかなり重要な位置付けなのは伝わったかな? 伝わらなかったのなら普通に言葉にする。


 すげぇ好きです。


 これで僕の彼達――主に藤原基央に対する思いは理解出来たと思うので、彼の歌詞について語ろうと思う。


 まず大勢の方がパンプと聞いて思い出すのはテレビドラマの主題歌だったらしい2001年リリースの『天体観測』であると思う。


 僕はそのドラマを見ていないので楽曲の話しかしないけど、ぶっちゃけ今尚色褪せない名曲。十年ちょっと前の曲とは思えない。


 まずイントロが圧倒的にキャッチーでいつまでも耳に残るよね。

 タブ譜ナシに耳コピであれを再現しようとして一生懸命練習したけど、半音下げて無くてイマイチイメージと違うなと首をギターとともに悲しく傾げたのは僕を含めて日本中に結構いるんじゃないかな? いないか…。


 そんなリフを通り抜けた先にある『午前二時フミキリで…』で始まる歌詞が何よりも凄まじいよね。

 当時の彼達は確かハタチ前後位だったはずだけど、半端じゃない熱量がある。


 あの歌詞は個人的な回想に基づくものなのかは知らないけど、多くの人に共通する学生時代の淡い恋を連想させる。


 恐らく何らかの原因で上手く行かなかったけど、今でもぼんやり君に向けた好意が自身の中にあって。

 歳を重ねる毎に伝えたいけど伝えられない思いが積み重なって――って青春かっ! 甘酸っぱ過ぎるだろ!


 …と文章にすると蒼すぎて突っ込みたくなるが、実際耳で聴くと違うんだよ。

 自分の中の重なる部分を勝手にイメージして、重ならない部分を想像し夢想させる力が彼達の楽曲にはある。


 一応ヒットソングということで触れたけど、残念ながら僕は天体観測を書いていないし、俺が書いたんじゃね?とはならなかった。


 僕が書いたのかと錯誤する程に僕であった歌詞は別にある。

 ご存知かどうかは知らないが、それは六枚目のアルバム――僕の中で最高傑作と評判の――『COSMONAUT』に入っているシングル曲。


 それが『モーターサイクル』である。


 なかなか趣向を凝らしたセンスあるMVが中毒性があると一部で話題になったりしたが、とにかく歌詞がヤバイ。これを書いた僕すげぇ! いや…書いてないけど。


 無駄に厭世的で無意味に自尊心の高い歌詞がもうヤバい。

 あるあるというか、普段の自分の思考形態そのままの姿がそこにはあったよ。無能の癖に世の中を斜めに見て、挙句見上げずに見下す滑稽な姿が的確に描写されていた。


『ああもう死にたい。やべえやっぱ死にたくない生きたい。うわでもこれは死ぬわ。いやでも死にたいけど生きてみよう。死ぬほど嫌だけど』 


 基本的に藤原基央が書く歌詞っていうのはこういうコンセプトが根幹にあると思う。

 あくまで個人的にはだけど、全ての曲はこの思想を大前提にしてると思う。

 そして『モーターサイクル』はそんな相反しない混濁した自意識が的確に表現されていると思うんだ。

 

 しかしまあ、音楽に限らず芸術なんてものはいくら他人が言葉を尽くして語った所で雑音でしか無いし意味がないからこの辺で終わろうと思うけど、このクソみたいに散文的な文字の羅列を流し見して、少しでも興味が湧いたのならユーチューブで公式MVを見て欲しい。それで案外気に入っちゃったらCDを買って欲しい。最寄りのブックオフで多分1500円位で買えるから。そんでもって感想をコメントして欲しい。


 全く持って無関係な僕には一銭も入らないが、それで貴方の退屈な人生が少しでも彩れば救われる気持ちになる。


 なんかちょっと臭くて真面目なことを言った所で締め!

 次回はまた文芸編に戻ろうと思う。電撃文庫の猛者『とある魔術の禁書目録』について…また後日!

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