イメチェン計画
風呂上がりにスマホを見ると和真さんから電話が来てた。
「もしもし、出られなくてすみません」
「いや、俺も急で悪かったよ。早速だけどさ、今週の土曜にサークルで映画館行こうかって」
「土曜ですか、俺は行けますよ」
「お前もだけど、要ちゃんの方だよ、行けそうか?」
あ、和真さんまだ要ちゃんに連絡先教えてなかったんだっけ。
「聞いてみますね」
「頼んだわ、主役がいねぇとお話にならないからな」
「主役?」
「あぁ、映画館行くならメンバーの集まりもいいからさ、これなら2年の女子来るんじゃないかって」
和真さん要ちゃんがサークルに顔出した時に女子がいなくて不満そうにしてたの気付いてたのか。
「それにお前2年の子達と仲良いだろ?多分1人で話しかけるの心細いだろうから手伝ってやって」
「...和真さんって意外と男前ですよね」
「意外は余計。そんじゃな、要ちゃん絶対連れてこいよ」
「はい、じゃあ失礼します」
さすが、なんて思っちゃう。いつも気だるそうにしてるけどちゃんと気づく所は気付いてるし口は悪いけど頼れるんだよなぁ。
「てことで、お買い物行こう」
二日前、和真さんから土曜に映画館に行くことを言われ、そして今日は2コマで授業も終わったから要ちゃんの家にお泊まりします。ついでに映画館に行く用の要ちゃんの洋服を見に行きたいのです。
「服なら持ってる」
馬鹿にしないでみたいな顔で要ちゃんが見てくる。
「いやぁ、たまには可愛い系の服も着てみようよ」
要ちゃんは黒とか所謂辛口系の服ばかり、それでも可愛いけど可愛い感じの服の要ちゃんも見てみたいし最近彼女いないから久しぶりにデートみたいでわくわくするじゃん。
「私には似合わないし...」
「あのね、要ちゃん。黒とか着る要ちゃんもかっこいいけどどこか近寄り難い雰囲気にさせているんだよ、だから可愛い系なら親近感が湧くんじゃないかな」
うん、我ながらいい理由。単に俺が見てみたいだけなんだけど。
「それを着れば...お友達できるか?」
要ちゃん食いついた。
「うん、だから行こうか」
この前要ちゃんに抱き枕を買ったショッピングモールの近くの服屋ばかりが入っている所に行くと、この前のショッピングモールは親子連れとか多かったけど今日の所は女の子やカップルが多い。若者向けだからかな。
「要ちゃん、なんかいいのあった?」
要ちゃんが着なさそうな系統のブランドのお店に入るとフリフリのワンピースをじっと要ちゃんが見てる。
「あ、いや...紗希が着てそうだなって」
「あぁ~」
確かに姉さんこうゆう感じの服好きだからなぁ。でもいきなりこういうのはさすがに要ちゃん着ないだろうし。
「あ、これはどうかな」
タートルネックの白いニットワンピを要ちゃんに渡す。
「ん、これなら着れるかも...」
これならそんなにハードル高くないしワンピだから多分便利なはず。(姉さんがそうやって言ってた)
それに何より要ちゃんにこれを着て欲しかったんです。
「試着してくる...」
人見知りだけど頑張って要ちゃん店員さんに受け答えして試着室に入っていった。
「優希、...どうだ?」
自信なさげにゆっくりと試着室のドアが開いて...、あー、やっぱりなんで白のニットワンピってこんなに可愛いんだろ。それにグラマーな人が着ると更に可愛いと言うか魅力的と言うか。
「な、なんか言え」
「あ、ごめん、意外と似合う」
「...変じゃないか?」
いつもと違う雰囲気の服に少し落ち着かなさそうな様子で余計に可愛い。
「それいいから今すぐ買おう。いや、買ってあげるから着て」
「え、あ、ちょっと優希」
要ちゃんが試着しているのと同じサイズのやつを見つけてきて勝手にレジに行くとしばらくして試着し終えた要ちゃんが小走りで来る。
「...お金」
「これは要ちゃんの服だけど俺が欲しかったから俺が買うの、それじゃだめ?」
要ちゃんは少し困ったように眉を下げるけど嬉しそう。
「その代わり夕飯は唐揚げが食べたい」
「...わかった、帰りにスーパー行こう」
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