孤独





私はお父さんに迷惑かけないようにちゃんと自分の支度は自分でしなきゃ。ご飯もお洗濯もやらなきゃ。

泣いたら迷惑かけるから強くならなきゃ。

誰かの力を借りたら迷惑に思われちゃうかもしれない、だから私がなんとかしなきゃ。



お父さん、私の誕生日を忘れちゃったの?いつになったら帰ってくるの?

私熱が出てるんだよ、苦しいよ、早く帰ってきて。

マラソン大会1位だったよ、お父さんのために頑張ったの、どうして褒めてくれないの。

どうして私の顔を見てくれないの?なんで私をそんなに避けるの?




寂しいよ



「!」

昔の夢を見た。寂しい、ただそれだけなのにそれがすごく怖い。

「おはよ.....、要ちゃん...どうしたの?」

隣に横になっている優希が私の頬を人差し指で拭う。私、泣いてるのか。

「...朝ごはん作らなきゃ」

起き上がろうとしたらそのまま抱きとめられた。

「だめ、今日はもう少しこのままゴロゴロしてよう」

「...でも学校」

「今日はおやすみ、体調は悪くないけど要ちゃんすごく苦しそうな顔してるし泣いた顔ほかの人に見せたくない」

温かい、優希の体の温かさと言葉が染み込んできて止まらなくなる。

「俺の前ではいっぱい泣いて、いっぱい迷惑かけて。絶対1人にしないからね」

「...ほんと?」

優しく撫でてくれる大きな手がそれは嘘じゃないと伝えてくれる。

この人の前だから私は泣くことができたしワガママも言えるんだ。






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