憂い





「...き、優希」

あ、結局寝れたんだ俺。

要ちゃんはもう部屋着じゃないしなんかいい匂いがする。

「ご飯炊けたから食べるぞ」

「ん...」

俺朝はご飯食べない派なんだけどなぁ、そんなことより昨日俺よく我慢したよね。

椅子に座るともう味噌汁と卵焼きが並べられていて要ちゃんがご飯をよそってくれました。

「いただきます」

そう言えば要ちゃんお父さんは帰りが遅いからって小さい時からよく家事してたから器用なんだね。家の姉さんは絶対料理できないし。

「私昼からバイトあるからあんまりダラダラ支度するなよ」

あ、そうか、今日はもうお泊まりの約束してないからね。

「要ちゃん、明日バイトある?」

「ないけど」

「...じゃあ学校終わったらまた来ていい?」

我慢するのは辛いけど、要ちゃん昔からお父さんの帰りが遅くて寂しかったのかなって思ったらなんか放っておけないや。

「...別に、いいけど」

いつもみたいに素直じゃない返事になんだか安心しちゃう。







「ただいま」

優希が彼女の家から帰ってきた。この遊び人め、いつか恨まれて刺されるんじゃないの?

「今度の彼女さんといちゃいちゃできた?」

ギャルかな、清楚かな。

「...うーん、何もしなかったよ」

優希が何もしなかったってことは余程のブス?いや、なら付き合う時点で断るか。

「優希が手出さないって珍しいね」

「確かにね、なんでしなかったんだろ」

いつもならちゃんとすることしてきて楽しそうに帰ってくるのになんか表情浮かないし、よっぽど今の彼女と性格合わないのかな。










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