モテ男、ヒーローはたまたオタク

@himejijo

第1話 現状ってこんなもの。

生産性のない休日が終わった。帰宅部、運動できない、まあ勉強は出来るのかな。大人はよく社会人になったら勉強できるやつがモテるとかいうけどそんなのどうだっていい。いっそ、オタクにさえなりたかった。同志と呼ばれる人たちとキャラだ作画だ声優だについて熱く語り合うのも悪くない。

佐藤優―それが平凡な僕の名前。幼い頃は海軍大将なんかに憧れて、自分を日露戦争戦争の立役者にしてみたり、はたまたやった事すらない野球の世界で活躍して、日本一獲得チームのエースとしてヒーローインタビューでいいこと言ってみたり...

気づいてみれば高校2年生。これまで趣味とか好きなものとかそういうものができたことがない。まあそりゃ、花の男子高校生なんだからエッチなグラビアやサイトには多少興味はある。だけどそんなんじゃない、なんとういうかこう、自分の為人というか、こいつはコレみたいなのがどうも見当たらない。


ふと校庭に目をやるとサッカー部の朝練とそれを見守る女子生徒。こういうのが高校生活なんだよな...

今はこんなのだけど、いつの間にか何かが起きて凄くなれると思ってた妄想も限界となり、自分がこんな人間であることを認めなければいけなくなった。もっとも、こんな自分語りをしているのだから、実際はまだ何かにしがみつこうとしているのかもしれない。

どこかから食パン加えた転校生来ないかな...まだ時間余裕だけど

期待もしないことを呟いてやっぱり起こらなくて、そんな世の中を俯瞰した風の自分もそれはそれで主人公っぽくないかと思ったりもしてみたけど、神様はそれすら許してくれなかった。


「ごめーん!そこどいて!」

後ろから大きな声が聞こえる。ちょっとしてから振り向くと、黒髪をポニーテールにまとめた少女がまさに食パンをくわえてぶつかってきた。甘いハチミツトーストが口に入る。そして、手に握っているのは柔らかくてたわわなあれ。

何このラブコメ展開!?ビンタ?それとも恥じらっちゃう?そんな期待もよそに、少女は何も言わず去っていった。

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