第7話 製薬会社とのつながり
つながりといえば聞こえはいいですが、はっきりいって「癒着」です。(←(^ω^)この人、はっきりいうね)
製薬会社も、薬を使ってもらわないと企業としてやっていけません。さらに新薬の開発ともなると、治験(臨床試験)という大関門があるのです。
昨今、新薬の研究開発で、大学と製薬会社の癒着が騒がれていますね。
直近のものでは、2013年、製薬大手ノ○ルティスファーマによる論文不正事件が明るみに出ています。
医者や病院と手を組まないと、製薬会社もやっていけないのです。(←(^ω^)製薬会社も大変だわ)
昔は製薬会社から派遣されて、薬の宣伝や売り込みに病院回りをする人をプロパーと呼んでいました。辞書には、propagandist(宣伝マン)の略とあります。
今ではMR(medical representative医薬情報担当者)と、格調高くいっています。
私は早くから大学医局をとび出しましたから、大学と製薬会社の癒着はよく分かりませんが、一般病院でのプロパーとのつながり、というか癒着は、よく目にしました。
病院の勤務時間が終わる頃になると、大勢のプロパーさんが、各診療科の長とつく医者の部屋の前に、目白押しに並んでいるのです。
多い時には10人超、いました。
1人1人順に中に入って、薬の宣伝をするのです。終えるのに、1時間以上かかることはざらでした。
平の医者はあまり相手にされません。薬を新規に採用する権限がないからです。
時々は、手土産をもっておいでになります。時には慰労金なのか奨励金なのか分かりませんが、寄付金を置いていきます。
懇親会と称して、じかに飲み会を開いてくれることもありました。
医師会支部の集まりがある時は、必ず料亭で開かれていました。製薬会社はそのスポンサーになってくれるのです。
MRによる簡単な薬の紹介から始まり、その後、懇親会(←(^ω^)ただの飲み会だね)になるのです。
ある公立病院時代、外科部長にプロパーから寄付があったのです。懇親会が開かれることになり、平の私にもお声がかかりました。
私はあっさり断り、医員10人の医局はすこぶる白けるのでした。
私のような偏屈がいると、部長もやりにくかったことでしょうね。(←(^ω^)部長、すいませんでした)
後で病院長に会う機会があり、
「われわれは公務員だから、これって収賄にあたりませんか?」
と聞いたことがあります。
私の性格を知っている病院長は、
「そうだな」
と苦笑していました。
それも今では、そうとう厳しくなっているようです。最近、インターネットにこんな記事が出ていましたよ。
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トラフグ産地の遠州灘に面する静岡県。あるフグ料理店にはちょうど2年前から、ある「お得意様」の姿がぱたりと消えた。60代の男性店主はこう嘆く。
「製薬関係者の接待がなくなりました。以前は一人1万5千円ぐらい飲み食いされていましたが、今は病院に2500円の弁当を届けるだけ。高級料理店はどこも死活問題ですよ」
原因は、業界団体の公正取引協議会が2012年から、1人5千円を超える接待を原則禁止にしたからだ。
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プロパーさんが大いに役立ったことも、ありました。
昔は、今のようにインターネットなどありませんから、医学情報を得るには、大変苦労したものです。大学の図書館に行くか、医学雑誌を買うかしか、情報を入手する手がないのです。
急変した患者の治療に、情報が急に必要となることもよくあります。
そういう時は、プロパーさんに手伝ってもらいました。医学文献を探してもらったのです。(←(^ω^)大助かりでしたよ。プロパーさんありがとう)
40代に100床ほどの病院の長になってからは、懇親会は無論のこと、いっさいのまじわりはやめました。
インターネットで情報が容易に入手できるようになったし、時間がもったいないからです。薬の新情報があるなら、書類を事務に手渡してもらうようにしたのです。
厚労省が薬の使いすぎを正そうとして、1980年代、医薬分業を打ち出しました。病院が薬で儲けるのを、やめさせようとしたのです。
病院とは離れたところに院外薬局を作り、医薬分業を推し進めたのです。
ところが、病院の経営者が別会社を作って、院外薬局を経営するという新しい構図ができました。これでは医薬分業どころか、医薬一体ですね。(←(^ω^)もとのもくあみだ)
会社が院外薬局をチェーン店のように展開して、近隣の病院と裏で契約するというパターンもあります。
この場合は、当然、何らかの手数料(裏金)が発生していると見ていいでしょう。
病院も薬局も、双方もちつもたれつで、仕事をしているのです。
薬屋さんについで、病院と切っても切れないものに、葬儀屋さんがあります。
死人が出る確率は、病院が圧倒的に高いからです。(←(^ω^)世間一般に比べて、ということで、誤診が多いという意味ではないよ)
葬儀屋さんにとって、病院と手を組まない手はないのです。
病院にとっても、何らかの見返りがあります。現金であったり、現物であったりします。
私の勤務した病院は、新品の救急車を寄贈してもらっていました。
今思うと、救急車と葬儀屋さんって、妙な取り合わせですね。(←(^ω^)霊柩車とはいかないよね)
余談ですが20年ほど前、私の友人が、役所への届出から焼場搬入まで、葬儀の全てをやってみたそうです。総費用は、5万円かからなかったといっていました。
わが家つまり私と女房は、仰々しい葬儀はやめて、搬送だけ葬儀屋さんにしてもらうことにしています。自分だけで自分の遺体を運ぶのは難しいようですからね。(←(^ω^)ちょっとこの人、頭おかしくない)
かくして病院は、いろいろの企業とタイアップして、日夜休まず医業にはげんでいるのです。
〈つづく〉
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