第4話 医者が殿様は医師法のせい①
医師法第17条には、「医師でなければ、医業をなしてはならない」とあります。
医業とは、医療行為を継続的に行うこと、つまり商売として行うことをいっています。
医業は全て、医師の指示のもとに行うのです。医師抜きでは医業はできないのに対して、医師は、ナース、薬剤師、レントゲン技師などが行なう全ての業務を、行うことが出来るのです。
何が医療行為(または医業)かということも、なかなか難しい話しです。
保健所の講習会に出席した時、医療行為の定義を講師に尋ねてみました。
答えられませんでした。
医療行為の定義云々で、現場は混乱しているのです。その実態を少し書いてみますね。
高齢者介護などの現場では、「"つめ切り"は医療行為で看護職員でしか行えないのか、それとも医療行為ではなく、ヘルパーでも可能か」といった問題が発生していると、ネットにありました。
厚生労働省医政局から、「原則として医行為ではないと考えられる行為」についての通知が出されています。( http://www.pref.shiga.lg.jp/e/imuyakumu/infomation/ikoui/not_ikoui.html を参照ください )
ちなみに、つめ切りは医療行為ではないとのことです。
これは切実な問題なのです。どんどん医療が家庭など病院の外に広がっていっています。以前には病院で行う医療行為だったものが、家庭でも出来るようになっているのです。
その典型は血圧測定ですね。血糖測定も自分で出来ます。
最近では特定の薬、例えばインシュリンなどは、自分で注射できるようになりました。
なのに2014年10月22日、「老人施設で違法医療行為 介護職員が血糖値測定」というニュースが、ネットに出ています。
介護職員の血糖測定はダメのようです。患者本人ならしろうとでも許されるのに、患者より医療には詳しいはずの介護士ができないだなんて、これもちょっと変な話しですね。
ここの施設長さんは、介護職員による血糖値測定を、「違法という認識はなかった」といっています。私めも知りませんでした。(←(^ω^)トホホ)
さらに在宅酸素療法といって、空気から酸素を取り出して高濃度の酸素を供給する器具が開発され、だいぶ前から自宅で使われています。これも患者本人か家族が操作します。
気管切開部の痰吸引を、自宅でも出来るようになりました。
在宅医療の重要性が叫ばれていますから、自宅で医療行為ができなければ困るのです。
救急救命士による気管挿管や点滴、最近では、ナ-ス単独の採血など、"医師の監督下において行う"が外れて、医師の特権ではなくなりました。
医者としては、手持ちの専売特許が減って、さびしい限りですよ。
〈つづく〉
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