彰人Side.2 俺と志乃の嫌いな食べ物な関係

「お兄ちゃん、今日のご飯は何?」


「ん〜そうだな…志乃は何食べたい?」


「じゃあね…志乃、オムライスが食べたい!」


「お?オムライスか…分かった、志乃のお願いの通りにオムライスにしよう!」


「わぁい、お兄ちゃん大好き!」


 お兄ちゃん、志乃のそういう素直な所は好きだぞ。


 という訳で、早速俺は今日の夕飯作りに取り掛かる。

 あ〜…志乃の成長の為にサラダとコーンポタージュも付けないとな。


 …え?何処からそんな資金が湧いてくるんだだって?

 先に言っとくがバイトでは無いぞ?

 そもそもバイトじゃ志乃の世話の時間が取れないし、ましてや2人分の食費なんて稼ぐことすら難しからな。

 じゃあ何だって話な訳だが、そこはまぁアレだ。番外編で出てくるヤツだ。


「お兄ちゃん何ブツブツ言ってるの?」


「あ、いや、今日はオムライスの他に何作ろうかなとね?」


「他にも作ってくれるの!?

 えっとね、コーンポタージュが良いなぁ」


 お、まさかの1品目当たった。


「それだけじゃなくて、志乃はちゃんと野菜も食べないとな。

 なので今日は入りサラダも追加します」


「えぇっ!トマト!?

 ひどい、お兄ちゃん!

 志乃がトマト嫌いなの知ってるでしょ!?」


 まぁ、知ってる。

 知ってるけれども、


「志乃、ちゃんと食べないとお兄ちゃんのお嫁さんにはならないぞ〜?」


「うぅっ、それを言われると…でもでもっ!

 …分かったよ、お兄ちゃん」


「うんうん、偉いぞ志乃。

 流石お兄ちゃんの妹だ」


 そうして俺は志乃の頭を撫でてやる。


「えっへへ〜、お兄ちゃんに褒められちゃった♪」


 …その、笑顔がお兄ちゃんのご褒美です。(ただし妹に限る)


 それから俺は夕飯をさっさと作り終え、志乃が料理を並べ終えてから、俺も机の前に座る。

 そしていつもの、


「「いただきます」!」


 と、言って食べ始める。


「あ、そうだ。

 志乃、トマトはちゃんと食べないとダメだぞ?」


「うっ、分かってるよぉ…」


 そう言って苦手なトマトを食べていく。


「うぇ…酸っぱくてブヨブヨしてる…」


「それでもちゃんと食べれたじゃないか」


「うん…だって、志乃はお兄ちゃんと結婚するんだもん!」


「そっか、偉い偉い」


 そう言って志乃の頭をまた撫でてやる。


「…結婚ね」


 確かに今の時代は少女結婚法のお陰で志乃の様な初潮を迎えた子なら、その子が望むのであれば結婚が出来るようになった。

 再婚した母さんも俺になら任せられると言っているし、親父の方もノリノリな訳で。


 でもな、俺、ロリコンじゃないしシスコンでも無いんだ。

 だけど、志乃の気持ちを踏みにじる訳にもいかない。

 だからこその現状維持なのだ。

 志乃の気持ちが変わるのならそれで良いし、変わらず俺を好きでい続けるのなら俺は志乃と結婚する。ただそれだけの事だ。


「お兄ちゃん、お風呂沸いたよ?」


「ありがとう、志乃。

 でも、お兄ちゃん今後片付けしてる所だから志乃が先に入って良いよ」


「うん、分かった」


 そう言って志乃は洗面所へと向かった。


「それじゃあ俺は、これをとっとと片付けて、志乃があがるまで仕事でもしてるか」


 そうして、俺と志乃の夜は徐々に更けていくのだった。



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