第2話

入学式から一夜明け、今日から通常授業が始まる。俺は基本早めに学校に着く派の人間なのだが、すでに教室には何人かの生徒が登校していた。和気あいあいとしゃべっている人達がほとんどだったので、静かに自分の席に着こうとした。そんな俺に気づいた前の席の女子が

「おはよう、落合君。これからよろしくね。」可愛い。見た目は可愛いというより美しいという言葉があってるような黒髪ロングの凛とした子だった。しかし、内面からあふれ出るオーラは純粋な女の子そのものという感じだった。だが、いくら美少女が前にいようとも俺は動揺はしない。やっぱり3次元の美少女が2次元の美少女に勝てるわけねぇな。内心そんなことを思いながら俺は律儀に挨拶を返す。

「お、おはようございます。え、えっと、名前なんでしたっけ?」訂正しよう。動揺しまくりだった。仕方ねぇだろ、まず女の子と話すこと自体珍しい上に美少女ときた、これに緊張せずにいられるやつがいるだろうか。いや、いない。しかも名前覚えてないときた。これはポイントマイナスだな。しかしそんなことは気にも留めないように

「奥田夕月《ゆうづき》だよ。昨日自己紹介したといってもまだ2日目だもんね。しかも外部生だったら知り合いも少ないだろうし。まぁ、これから仲良くしようね。」

「優しいですね。こちらこそよろしくお願いします。」今度は普通に言えた。

「優しいなんて。」奥田さんは微笑みながら言った。

思い上がりかもしれないが案外引かれてないのかもしれない。まぁ、人の本音なんて知らない方が良かったりするもんだ。

「アニオタ君、どうしたん?ぼーっと立って。席つかんの?」

いや、いつから俺の名前アニオタになったんだよ、と思いながら席に着いた。

今日の授業は基本事項の確認ぐらいだ。テスト返しも行われるらしいが、そんなことは正直どうでもいいし基本的に楽だ。そんなこんなで、今日も平穏でなんもなくて平和な日々が過ぎていく。そして今日も授業が終わり集が俺のところにやってきて

「テストどうだった?俺は平均チョイ上ぐらいだったけど。」

「一言で言うと可もなく不可もなくで、平均+10点ぐらいだ。勉強しか取り柄がないわけだがやっぱり進学校だと飛び抜けてできるようになるには多少なりとも努力は必要なのか、努力できない俺はつんだな。」

「どうせまたノー勉なんだろ?それでその点なら十分じゃねぇか。」

「まぁ、予想通りの点数だからな。言った通り可もなく不可もなくだ。」

俺と集の学力レベルは大体同じだ。だから、お互いにテストの点でよく競い合ってきた。今回は俺の勝ちだったようだ。しかし、才能だけで生きてきた俺とは違い集は努力家である。抜かれるのも時間の問題かもしれないな。などとつまらんことを思いながら帰路に着いた。

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結果がすべての高校に行った俺の日常譚 明日人 @a_s_t

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