2/2 『今が一番脂が乗ってておいしい』

☆★☆★


 風乗春太かぜのりしゅんた:ペット愛に溢れる少年。ムダにカッコつけたがる。犬か猫と結婚したい。あだ名は『シュンたん』。


 マキンリア:赤茶髪の快活な少女。元気いっぱい。食いしん坊。あだ名は『マッキー』。


 チーちゃん:チワワ。上半分は黒い体毛で下半分はベージュ色の体毛。勝ち気な女の子。


 プーミン:シンガプーラ。セピア色の短毛。甘えん坊の女の子。


 セリーナ:ボルゾイ。純白の体毛。頼れるお姉さん。


 セーネルの街:中世ヨーロッパ風の石造りの街。近辺に幾つかの狩場を抱え、そこで稼ごうとする冒険者で溢れている。狩りの帰りに冒険者達が飲食店を求めるので、街には飲食店がいっぱい。食べ歩きには困らない。


☆★☆★


 冒険から帰ってきた春太とマキンリアは今日も新たな食事処を開拓。

 賑わう店内で二人はテーブルに向かい合って座る。

 注文を済ませ、品物が運ばれてくるまでの時間はお喋りの時間となっていた。

「さあシュンたん、あたし達のトークショーの時間がやってきたよ」

 楽しそうに言うマキンリアに、春太はラジオ収録みたいだなと思った。

「ああ、今日もこの時がやってきたか」


「シュンたん、今日は最終回だよ」

「遂に終わったね~お疲れさま!」

「お疲れさま!」

「アクセス数は今までで一番伸びたね、驚いたよ」

「なろうのトップページに完結作品枠があるから、そこで見付けた人がいるのかも?」

「かもしれないね」



「シュンたん、最終回だからアレ食べようよ」

「アレ? どれ?」

「シャキシャキキャビラ」

「えー」

「気乗りしない感じだね。今が旬なのに」

「キャビラに旬とかあったの?」

「うん。今が一番脂が乗ってておいしいんだって」

「脂?! 魚かよ。食虫植物でしょ?」

「そうだよ。でも肉厚で大トロはそれはもうとろける旨さなんだって!」

「大トロ?! マジでそれ魚じゃないの? いったいどんな姿してるんだか」

「うーん……こーんなにでっかくて、唇が凄くて、虫とかそれ以外もバックン! って食べちゃうの」

「こわっ! てっきり手のひらサイズかと思ってたら巨大生物じゃん」

「どうせだから見に行く? 隣町だけど」

「それってモンスターなの?」

「そうだよ」

「それは知らなかった。じゃあ姿を直接見るまではおあずけだな」

「そうだね。キャビラの肉をゲットしにいこう! 注文も来たみたいだよ」

「肉だけどシャキシャキなのか……それじゃあみんな、またね!」

「またいつかどこかで会おうね!」


二人のもとに湯気の立つマイオークラッケが運ばれてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ペット無双の小劇場 滝神淡 @takigami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ