1/31 『あまーい!』
☆★☆★
マキンリア:赤茶髪の快活な少女。元気いっぱい。食いしん坊。あだ名は『マッキー』。
チーちゃん:チワワ。上半分は黒い体毛で下半分はベージュ色の体毛。勝ち気な女の子。
プーミン:シンガプーラ。セピア色の短毛。甘えん坊の女の子。
セリーナ:ボルゾイ。純白の体毛。頼れるお姉さん。
セーネルの街:中世ヨーロッパ風の石造りの街。近辺に幾つかの狩場を抱え、そこで稼ごうとする冒険者で溢れている。狩りの帰りに冒険者達が飲食店を求めるので、街には飲食店がいっぱい。食べ歩きには困らない。
☆★☆★
冒険から帰ってきた春太とマキンリアは今日も新たな食事処を開拓。
賑わう店内で二人はテーブルに向かい合って座る。
注文を済ませ、品物が運ばれてくるまでの時間はお喋りの時間となっていた。
「さあシュンたん、あたし達のトークショーの時間がやってきたよ」
楽しそうに言うマキンリアに、春太はラジオ収録みたいだなと思った。
「ああ、今日もこの時がやってきたか」
「シュンたん、今日はアクセス数が今までで1番伸びたよ!」
「しかも評価ポイントも入った!」
「エピローグ前に伸びて良かったね」
「うん。大詰めを迎えたんであと少しになってしまうけど、ぜひ最後までお付き合いしてほしいもんだ」
「きっとみんな続きを待ってるよ!」
「チーちゃん達の活躍をね」
「シュンたん、天ぷらって天つゆと抹茶塩があるけどどっち派?」
「あ~それあるね。両方出されてお好みの方でお召し上がりくださいっていうの。俺は天つゆに慣れちゃってるから塩は試したことないんだよね。どうなの?」
「塩だとね~サクサクのまま食べられるんだよ! 割と塩を付ける時偏っちゃうから天つゆよりちょっと難しいかもしれないね」
「サクサクのまま食べられるのっていいな。今度俺も試してみようかな」
「どうせだから今日のお店で頼んじゃおうよ」
「今日のお店は無理でしょ。焼き肉だし」
「言ってみないと分からないじゃん。まかないとかであるかもしれないよ」
「店で扱ってない品をまかないで出すわけないじゃん。揚げる機械をそもそも置いてないでしょ」
「もうお肉を揚げちゃえばいいのに」
「焼き肉を揚げたらおかしなことになるって。ていうかなんて言うか、それハムカツみたいになっちゃうよ」
「それだと塩いらなそうだね」
「それがハムカツならね。焼き肉でカツにしたらどうなるんだろ……?」
「きっとサクッジュワッ……う~んジューシー! あまーい! ってなるんじゃない?」
「あまーい! は余計だろ」
「でも女子アナがいつも言ってるよ」
「そういや何食べてもあまーい! って言ってるよな。あれなんなんだろ」
「言葉に詰まったら言うのかもしれないね」
「ハバネロ食べても言えたら尊敬するな。からーい! あまーい! どっちだよ! みたいにセルフツッコミしながらね」
「きっと涙流しながら言うんじゃないかなあ。あ、注文来たみたいだよ」
「それがプロ根性ってか。それじゃまた明日!」
二人のもとにほんのり赤いスパイシーチキンが運ばれてきた。
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