1/30 『分かってる風』

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 風乗春太かぜのりしゅんた:ペット愛に溢れる少年。ムダにカッコつけたがる。犬か猫と結婚したい。あだ名は『シュンたん』。


 マキンリア:赤茶髪の快活な少女。元気いっぱい。食いしん坊。あだ名は『マッキー』。


 チーちゃん:チワワ。上半分は黒い体毛で下半分はベージュ色の体毛。勝ち気な女の子。


 プーミン:シンガプーラ。セピア色の短毛。甘えん坊の女の子。


 セリーナ:ボルゾイ。純白の体毛。頼れるお姉さん。


 セーネルの街:中世ヨーロッパ風の石造りの街。近辺に幾つかの狩場を抱え、そこで稼ごうとする冒険者で溢れている。狩りの帰りに冒険者達が飲食店を求めるので、街には飲食店がいっぱい。食べ歩きには困らない。


☆★☆★


 冒険から帰ってきた春太とマキンリアは今日も新たな食事処を開拓。

 賑わう店内で二人はテーブルに向かい合って座る。

 注文を済ませ、品物が運ばれてくるまでの時間はお喋りの時間となっていた。

「さあシュンたん、あたし達のトークショーの時間がやってきたよ」

 楽しそうに言うマキンリアに、春太はラジオ収録みたいだなと思った。

「ああ、今日もこの時がやってきたか」


「シュンたん、今日は特に動きなしだったね」

「アクセス数はそれなりにいったんだけどな」

「物語の方は佳境に入ってきたよね」

「あと何日かでエピローグか、なかなか早かったな」

「1日3話ずつアップしてるからだよ。何で1話ずつにしないの?」

「ああ、それは作者の方針らしい。まとめて読みたい人もいるから多めにアップするんだそうだ。本来小説を買ったら1巻分の文章が読めるわけだからね。でも1日で1巻分全部をアップしてしまうと読者と出会う機会が極端に少なくなってしまう。そこら辺を考慮して決めたようだよ」

「へえ~けっこう考えてるんだね!」

「それに、作者は書きながらアップしてると毎日アップすることができないらしい。それで前作では読み手を待たせてしまうことが多々あったようだ。だから1巻分全部書き終わってからアップするというのも決めたようだね」



「シュンたん、作者が最近す○家で使い方の分からない器具があるんだって」

「牛丼のチェーン店じゃん。そんな難しい器具なんて置いてるっけ?」

「なんかね、卵と一緒に鉄の丸い器具が運ばれて来るんだってさ」

「鉄の丸い器具……? 何それ」

「そう思うでしょ? 器具の中央には窪みがあって、その周囲には丸括弧状の切れ込みが入ってるって言ってた」

「……なんのための器具だろうな」

「作者はね、分からないんだけど分からない空気を出したくないから、分かってる風の空気を出す工夫をしてるんだって」

「素直に訊けよ」

「器具を持ち上げて『うん、これでしょ?』みたいに頷いて見せたり、指で挟んでクルッて回してみたり。そうしてから周囲の反応をうかがって、ニヤッてする」

「知ったかぶりをしてみたけど後に引けなくなった感があるなそれ。小学生がよく陥る現象じゃないか」

「最終的には伝票置きにしてるんだって」

「ツメが甘いだろ。分かってない感出ちゃってるじゃん」

「結局、卵を自動で割ってくれるとかそういう器具なのかなあ?」

「自動? どうやって?」

「中心の窪みに卵を置くと、アイアンメイデンみたいにバチンッて締まるとか」

「こわっ! 拷問具じゃねーかよ。しかもそれじゃ卵粉砕だろ。じゃああれじゃないの? 卵を窪みに置いたら器具の両端を持ち、親指で卵を押すと綺麗に割れるとか」

「……それって意味あるの?」

「あんま無い気がする」

「素直に検索した方が良いかもね」

「検索って……マッキーの世界にはスマホ無いでしょ」

「スマホ?」

「この世界の電話あるじゃん。あの画面で色々検索できるのを俺の世界じゃスマホって言ってる」

「こっちの世界でも画面で検索できるよ」

「えっ? まんまスマホじゃん」

「こっちではシマホって呼んでるけど」

「なんか別の略称に引っかかった?!」

「あ、注文が来たよ。今日はこの辺で終わりにしよっか」

「なんて不思議な世界なんだ……じゃあ今日はこれで!」


二人のもとにぐつぐつの鍋焼きうどんが運ばれてきた。

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