1/29 『伝統芸能』

☆★☆★


 風乗春太かぜのりしゅんた:ペット愛に溢れる少年。ムダにカッコつけたがる。犬か猫と結婚したい。あだ名は『シュンたん』。


 マキンリア:赤茶髪の快活な少女。元気いっぱい。食いしん坊。あだ名は『マッキー』。


 チーちゃん:チワワ。上半分は黒い体毛で下半分はベージュ色の体毛。勝ち気な女の子。


 プーミン:シンガプーラ。セピア色の短毛。甘えん坊の女の子。


 セリーナ:ボルゾイ。純白の体毛。頼れるお姉さん。


 セーネルの街:中世ヨーロッパ風の石造りの街。近辺に幾つかの狩場を抱え、そこで稼ごうとする冒険者で溢れている。狩りの帰りに冒険者達が飲食店を求めるので、街には飲食店がいっぱい。食べ歩きには困らない。


☆★☆★


 冒険から帰ってきた春太とマキンリアは今日も新たな食事処を開拓。

 賑わう店内で二人はテーブルに向かい合って座る。

 注文を済ませ、品物が運ばれてくるまでの時間はお喋りの時間となっていた。

「さあシュンたん、あたし達のトークショーの時間がやってきたよ」

 楽しそうに言うマキンリアに、春太はラジオ収録みたいだなと思った。

「ああ、今日もこの時がやってきたか」


「シュンたん、今日もブックマークが微増だったよ」

「もうだいたいこれくらいが上限なのかな」

「そうかもしれないね。後はいま読んでくれてる人達にラストまでお届けできればいいんじゃないかな」

「ラストは割と驚くんじゃないかな。予告しておくと、エピローグは二本立てなので要注意だ」

「2つのエピローグがあるってこと?」

「そうそう、それなんでお見逃しなくってところだね」



「シュンたん、エア食事って知ってる?」

「何それ」

「食べ物が無いのに食べてるように見せるの」

「それをする意味が分からない」

「でもお客さんに楽しんでもらうためらしいよ」

「そんなもの見せて喜ぶ客がいるのか?」

「いるって言ってたよ。街の異世界人が」

「いったいどんなパフォーマーだよ。ユーチュー○とかで流行ってるのかな?」

「落伍者だって言ってた」

「…………それ落語家じゃん! あ~そうか、落語か……! あーそうね、確かにね、やってるよねエア食事。意外に伝統芸能だったな」

「そうそう、伝統芸能って言ってた」

「そりゃお客さんもつくわけだ。しかし色んな人が来てるんだな」

「そだよ。最近じゃ冒険者にならずに商売で稼ぐ人が続出してる。一昔前は『元の世界に帰せ!』って怒る人が多かったんだけどねー今では『スローライフがしたい』っていう人も多いよ」

「まるで某業界そのものじゃねーか……っと、注文が来たみたいだよ」

「某業界? どこだろ~その業界。じゃまた明日!」


二人のもとにツヤツヤの海鮮丼が運ばれてきた。

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