after第29話 空から降ってくる放射能
「地震だデカイぞ!?」
「みんな伏せろー!」
その時ニーガタの町に大地震が発生した。
勿論震源はダンジョンである。
そして、外に居てそれを見た人々は恐怖した。
空へと登る巨大な雲。
上のほうで広がりそれはキノコ型となる。
知識でしか知らないナジムもそれを見て目を丸くする・・・
「きのこ雲・・・ま・・・まさか・・・」
ニーガタの町の近くまで地面が上空に吹き飛びその爆発の恐ろしい威力を物語る。
当然ダンジョンは爆発の中心だ、瞬時に吹き飛び中は消滅するクラスのエネルギーに包まれ赤砂は全て蒸発する。
当然ダマもそのエネルギーの中で完全消滅をする。
「なに・・・これ・・・」
「多分・・・タツヤの仕業・・・」
ゴンザレス太郎の指示通りダンジョンから離れていたフーカとサラもそのステータスに関係なく全てを消滅させるエネルギーに恐怖を覚える。
その日、核融合により発生したエネルギーは地下で核爆発を起こし全てを巻き込んでダンジョンそのものを吹き飛ばした。
人々はまるで世界が終わったかのように揺れに、音に、煙に、匂いに恐怖した。
空まで巻き上がった煙は砂漠の全てを覆いつくしそして・・・雨が降り出す。
砂漠の中で雨が降るのは本来なら歓迎されるのだがナジムは頭の中で知識として得ていた事を思い出しそれを目にして恐怖する。
そう、放射能が含まれた黒い雨が降りだしたのだ。
異世界でレベルが上がりそれが危険な物か理解できるようになっている者達は空から降る雨を見て叫ぶ!
「全員家の中に入れ!この雨に触れるな!」
町の入り口で見守っていた人達に襲い掛かった巨大な爆発による地震、そして煙と雲・・・
そして、死の雨・・・
ニーガタの人々は一斉に近くの建物に逃げ込んだ。
だが、当然人が全員屋内に隠れる前に雨は降りかかり人々に襲い掛かる。
放射能を含んだ雨は触れなくても気化する事で空気中に放射能を撒き散らす。
ニーガタの町は滅ぶ運命にある。
普通ならそうであろう。
「えっ?なにこれ?」
一人の少年に降りかかった雨が体を濡らし頬を伝って地面に流れる。
そして、少年は自分の周りの砂が美しく輝きを放つのに驚く。
地面に降り続けている液体は間違い無く放射能を含んだ水である。
だが、少年の周りの水だけは美しく清らかな聖水となっていた。
それは少年だけではなかった。
ありとあらゆる人の周りで同じ現象が起こっていた。
「ふぅ、本当に無茶苦茶するねタツヤ」
町の入り口から少し離れた場所にミリーとゴンザレス太郎が居た、いや現われた。
ダンジョンの地下で核融合を発生させ核爆発を起こして吹き飛ばしたので逃げる時間など無かった筈なのに二人は無事であったのだ。
「まぁおおむね予定通りいったからいいじゃない」
ゴンザレス太郎が笑顔で答える。
その二人の周りも水は聖水に変わる。
そして、ゴンザレス太郎がサラとフーカを出現させる。
「ミリー?!なんでここに居るの?!」
サラが驚いて声を上げる。
フーカはマリスの時しか知らないのでサラの後ろに隠れるように身を引く。
「おっと、離れる前にスキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」
そして、ゴンザレス太郎はサラとフーカにも町の人と同じようにスキルを付ける。
全て、ゴンザレス太郎の作戦通りに完了していたのだった。
核融合を発生させ核爆発を起こしてダンジョン地下を自らと共に消滅させたのだがミリーが自分に付けていたジルのユニークスキル『うつせみ』の効果で二人は核爆発の効果範囲外に脱出する。
そして、放射能を含んだ雨はミリーがニーガタの町の人全てに付けておいたユニークスキル『絶対浄化』の効果により放射能は浄化され聖水と変化する。
そして、常時発動スキルである絶対浄化の効果でニーガタの人々の呼吸からも空気中に輩出され放射能は直ぐに全部浄化される。
特に近くを流れた液体が全て聖水に変わりその聖水も放射能を浄化するので直ぐにこの地域も浄化されるだろう。
全て、完全にゴンザレス太郎の作戦通りであった。
しかし・・・
喜ぶゴンザレス太郎の背後から大きな声が響く!
「ふざけるなー!!!」
それはダンジョンが在った場所に登る煙であった。
入る体を全て失い、最後の最後に彼女が宿ったのは放射能の煙であった。
気体と化したダマが巨大な体を構成してニーガタの町に歩みを進め始めたのだった!
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