第56話 人間の反撃
まさに悪夢と言える光景だった。
魔物側がどんな攻撃を仕掛けようとゴンザレス太郎はそれを正面から受け隙あらば毒針の一撃を仕掛ける。
どんな強力な攻撃をしても立ち上がり逆に毒針の一撃を貰うだけで即死する。
まさに魔物達にとって悪夢としか言えない光景が続き魔王も徐々に表情が険しくなっていく…
「15匹目…」
頭から丸かじりにゴンザレス太郎を噛み殺そうとした虎の魔物も口内で毒針の一撃を受けて即死した。
だがゴンザレス太郎の動きを止める事が起きた!
「動くな!」
悪魔大元帥アモンである、再び瞬間移動でフーカを人質に取ったのである。
自身だけでなく半径30メートルまでの対象を自由に瞬間移動させられるこの能力が一番厄介でゴンザレス太郎のスピードではアモンを捕らえることは出来ず逃げ回られたら打つ手が無かった。
だからゴンザレス太郎は内心喜んだ。
全ては計画通りと新世界の神のように笑みが遂に顔に出た。
これまで普通なら何百回、いや千回を超す回数死んでてもおかしくない攻撃を受けているにも関わらず笑ったのだ。
そして、アモンは最後にその笑みを見てその命を散らした。
「私に触れていいのは彼だけなんだから!」
フーカはアモンに強く言った。
その手に在るのはゴンザレス太郎と同じ毒針であった。
そう、これはかつてマジメの3人にレベル上げ代行を依頼した時にもしも3人が行動不能になった時に自分のみを守るためにメールが渡した身を守る最後の手段としての毒針であった。
当たれば0.003%の確率で相手を即死させるこの武器はレベル上げ代行の依頼を受ける冒険者が依頼人に護衛がやられても最後まで諦めないようにと渡すのが一般的とされていて運があれば最悪の状況を生き残れるという命綱みたいなものであった。
実に約3万回に1回敵を即死させるという無いよりかはましというこの武器が猛威を震っていたのだ!
ゴンザレス太郎の体が光り何かが弾けるように破裂した。
その光景に魔物達は恐怖した。
それはアモンがゴンザレス太郎に掛けたスキル封印がアモンが死んだ事で解けた印であった。
見た目は人間の子供だがもう魔物達にとってその存在は恐怖でしかなかった。
「全く情けないわね!」
そこまで傍観していたサラが遂に動き出した。
そしてゴンザレス太郎の方を見て…
「守れるものなら守ってみなさい!炎王球!」
得意の巨大な炎の塊を再び作り出しそれを町目掛けて打ち出したのだ!
ゴンザレス太郎は焦った。
今から追い掛けても攻撃に追い付けずあの威力なら間違いなく障壁を貫通し町中に着弾する。
あんなものが町の中で炸裂したら死人がどれ程出るかと考えたのだ。
だがその心配は無かった。
「スキル『リフレクドシールド!』発動!」
そこに立っていたのはSランク冒険者デニムであった。
彼はサラの炎王球に対し魔法を跳ね返す盾を産み出す!
それを見てサラは笑い声を上げる!
「アハハハハ!私の体当たりすら防げなかった人間程度の盾でどうにかなるもんか!」
しかし、デニムは口元を歪め目を見開いた!
その後ろに沢山の冒険者が集まっていたのだ!
そして、デニムの体を後ろから支える!
直後火炎球はデニムのシールドとぶつかりデニムの体を少しずつ押し下げていく…
「子供が頑張ってるのに不様な姿は見せられないな!」
障壁の近くに立つ一人の男がそうハッキリと宣言し構えをとる!
ヤバイであった。
「スキル『居合い拳』発動!」
それはヤバイのユニークスキルで遠くの狙った場所に拳の衝撃を送るだけのスキル。
基本的に飛び道具の軌道を変えたりするだけのスキルでその威力はヤバイのパンチ力に比例するのだが…
「なっなに?!」
徐々に炎王球は押し返されそして遂に跳ね返し魔物を数匹巻き添えにして大爆発を起こすのであった。
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