第57話 完全勝利!
時は少し巻き戻る。
「あ…あの少年は一体…」
デニムはゴンザレス太郎が明らかに人間が耐えられる限界を越えた攻撃を何度も喰らいその度に立ち上がる姿を見ていた。
「こんな様で何がSランク冒険者だ!」
自身の不甲斐なさに悔しがるのだがその直後ゴズを倒すのを目の当たりにする。
周りに居る冒険者達がその少年の勇姿に絶句する。
だがデニムは叫んだ!
「全員あの少年を助けられる様にステータスを上げろー!」
そう、デニムが考えた作戦はレベル上げ代行を逆に利用してゴンザレス太郎が倒した魔物でレベルアップした自分達のレベルを全て自分の一番得意なパラメーターに一点振りして強化する方法であった。
普通ならバランスよく成長させるのだが今の力の差を一点振りで補おうと考えたのだ!
結果、デニムはスキルの強度!周りの人達は力と持久力、そしてヤバイはユニークスキルを使う為の力と素早さと筋力をゴンザレス太郎が魔物を倒す度に上がる度に全振りした!
その結果、サラの炎王球を全員の力で押し返したのだ!
そして、現在…
「こ…こんな事があってたまるかぁー!!!」
サラの雄叫びが響く!
最早最初の恋する乙女な表情は何処にもなかった。
そして、サラはゴンザレス太郎に襲い掛かり連激を浴びせる!
ゴンザレス太郎に毒針を使わせない様に一方的に攻め続けるのだ!
しかし、ゴンザレス太郎は一瞬の隙をついてサラの一撃をかわし懐に入った。
「私の負けか…」
サラは目を閉じた。
後悔は無かった。
この少年は自分よりも強かった。
それが嬉しかった。
スキルの力を使わなくてもこの時サラはゴンザレス太郎に惹かれたのだ。
「俺のミスで巻き込んでごめんな」
サラは耳を疑った。
ゴンザレス太郎から聞こえたのは謝罪だったのだ。
元はと言えばゴンザレス太郎が好感度MAXを発動したからこうなったと言うのを謝っていたのだ。
その優しい一言がサラの心を溶かした。
そして、ゴンザレス太郎は障壁の上でマコトが落とした『キメイラの翼』をサラに向かって使用した。
毒針で刺すのではなく彼女を飛ばしたのだ。
周囲の魔物達から見たらまるで一瞬にしてサラが消滅した様に見えたのだろう。
勝ち目が最早無いと考えた魔物は我先にと逃げ出し始めた。
どんな攻撃を仕掛けても通用せず反撃の毒針を当てられたら即死する。
こんな理不尽な無理ゲーに付き合えるわけがなかった。
そして、その場に残ったただ一人『魔王』はゴンザレス太郎に聞く。
「見事だ人間、一つだけ聞きたい何故娘のサラを殺さず飛ばしたのだ?」
「彼女を巻き込んだのは此方のミスです。それに、可愛い女の子は守るべき存在ですから」
「クックックッ…遥かに自分よりも強い存在なのに可愛い女の子だから守るべき存在とな…ハッハッハッハッ!」
静まり返った荒れ果てた平野に魔王の笑い声が木霊する。
「全く人間というものは面白い存在なのだな、分かった今回はお前の事が気に入ったから退くとしよう。俺はお前には手を出さない。だが、サラはもしかしたら…その時はお前が守ってくれるか?」
「彼女がそれを望むなら…」
「クックックッ…」
そう笑いながら魔王は踵を返して空を飛んで帰っていった。
こうして、魔王の進撃は死者の一人も出すこと無く無事に撃退に成功したのだった。
そして、障壁の内側では様子見をしているジルから魔王が去った知らせが届き人々が暴動を起こさないように神の使いとして町の人々の先頭に立ってサリアが戦う冒険者達に向けて祈りを捧げていた。
これはマコトが障壁から落とされてゴンザレス太郎のユニークスキルに全てを賭けた時にその秘密をバレないように行動した結果であった。
実は前々からもしもゴンザレス太郎の力を借りて町を守ることが起こった場合に計画していた事であった。
サリアとラストエリクサーの事を知っていたマジメの3人の計画通り今回の魔物の襲撃はサリアの祈りの力で一人も死者を出さなかったと大々的に話題になるのだった。
ゴンザレス太郎の秘密はCランク冒険者以上の一部の人間しか知らない形に納められたのだ。
そして…
「タツヤー!!」
ゴンザレス太郎に抱き付くフーカ、それを優しく受け止めるゴンザレス太郎。
姿は7歳なのにボロボロのその姿は歴戦の勇者の様に見えていた。
「無事なの?どうしてなの?教えて説明して!」
死んでてもおかしくないどころか生きてるのがおかしいレベルの事象だったのにも関わらずこうして立っているゴンザレス太郎にフーカは取り乱しながら聞く!
あの時耳打ちされた。
「メールさんから受け取ってた毒針用意しておいて、もし連れ去られたら相手に何処でも良いから刺して」
っとゴンザレス太郎に言われた通り使用したら悪魔大元帥アモンを即死させたのだ。
一体どんなスキル効果がこの場に広がっているのかフーカは気になって仕方がなかった。
「今発動しているのはね…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます