第47話 恋はハリケーン?!

「お待ち下さいお嬢様!」

「離してニセバスチャン!私こんな気持ち初めてなの!」


とある場所のとある城の中で一人の少女が執事の男と揉めていた。

少女はこの城を飛び出して突然湧いた想いを確かめに行きたいと訴える!


「あぁお嬢様が外に出たいと言い出す日を待ちわびておりましたが、このニセバス御主人様の許可なくお嬢様を出すわけにはいきません!」

「どうしても?」

「どうしてもでぇぼぉ!?」


瞬間少女の拳がニセバスチャンの腹部にめり込みニセバスチャンは後ろの壁を突き破り隣の部屋に転がる。


「あぁ、この胸の高鳴りの答えを見付けに私は旅立つのよ!」


そう言って城から駆け足で飛び出して一直線に人間界に走っていく少女…

腹部に大穴を開けられ転がるニセバスチャンは自らに回復魔法をかけながら這って移動していた。


「ま…魔王様に知らせなければ…」


この日、魔王が計画しているよりも早く魔界から人間界に魔海を渡って一匹の魔物が移動したのだった。







「フーカどう?」

「ん?」

「僕の事…好き?」

「うんっ!」


飛び付くようにゴンザレス太郎に抱き付くフーカ。


「一人の好感度がMAXになっても他の人の好感度は変化なし…っと」


エロゲーでよくある話なのだが攻略可能なキャラの好感度が規定値を超えたらそれまで好感を持っていたキャラが通常キャラに戻るというのをゴンザレス太郎は確認していたのだ。


「後はシズクがもしかしたら今頃探してるかもしれないな…」

「タツヤ…なんか嬉しそう…」

「いやいや、そんな事はないぞー」


そしてそのまま時間が来て依頼書に完了のサインをもらいギルドに戻る最中に…


「あっゴン太君!」

「あっシズクちゃん」

「ギルドの依頼の帰り?相変わらずラブラブだねぇ~」

「えっ?あっ…うん?」

「それじゃ私これからデカスギ君と勉強会だからまた明日学校でね」

「ん?…んん?…う、うんまた…」


そう言ってスキップしながら去っていくシズクを見送る2人…


「なぁフーカ?」

「再確認した、間違ってない」

「それじゃあどうして…」


困惑しながらギルドに戻って以来完了の報告と報酬を受け取って振り替えると丁度マジメの3人が見掛けない男と共にギルドに帰ってきていた。


「をっゴンザレス太郎じゃないか!どうした?」

「マコトさん、なんか新しいスキル効果の実験したんですがなんか原因不明の失敗したみたいで」

「はぁ…今度は一体何をやろうとしたのよ?」


もう予想が出来ないゴンザレス太郎のスキルに恐怖しか無いジルは溜め息混じりに聞くのだが…

流石に女性の気持ちをスキルで動かすというのは人として色々と不味いと感じたゴンザレス太郎は苦笑いをして誤魔化すのであった。


「そうそう、聞いてくれよゴンザレス太郎!俺達来週の試験に合格したらAランクだぜ!」

「マジですか!凄いじゃないですか!」


そう、BランクとAランクにはそびえ立つ壁と呼ばれるくらいの差があり特に冒険者自信の実力差が凄まじい。

Bランクの冒険者10人で倒す魔物をAランク冒険者は1人で倒す位である。

なお、世界にはSランク冒険者が5人だけ居るがそれはもはや人外魔境と呼ばれるらしい、噂によれば一人で竜ドラゴンを退治出来るとか…


そんな事を考えていたらギルド内に聞いたことの無いサイレンが鳴り響いた!?


「緊急事態です!現在この町に強大な魔力の塊みたいな未知の生物が接近中!到達まで後1時間!緊急クエストです!Cランク以上の冒険者は受付まで来てください!」


ざわざわと騒がしくなるギルド内でギルドマスターと思われる法衣を着た老人が二階から降りてくるのであった。

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