第34話 パーティー勧誘

朝日が洞窟に差し込んで内部が少し照らされる。

その入り口の横を少し奥に行った場所に夜営していたマジメの3人とゴンザレス太郎とフーカは無言で出発の準備をしている。

荷物をまとめ終わりマコトが2人に代表して話をする。


「色々聞きたいことや言いたいこともあるが今回は俺のミスが原因で危険な目に遭わせてしまってすまなかった」


そう、今回の最大の失敗はマコトが洞窟に入って直ぐに転移の罠を踏んで全員をモンスターハウスに飛ばしてしまったのが原因なのだ。


「そこで、今回の依頼に関しては失敗とさせてほしい」


冒険者にとって依頼の失敗とは自らの経歴に傷をつけると同じことなのでこれは彼等が自らに課した罰なのだろう。


「護衛対称の二人が居なかったらここにこうして生きていられなかった事も確実だ。感謝をしてもしきれない」


転移して直ぐにゴンザレス太郎の作戦で穴を堀りそこに籠城し、フーカのスキルで魔物の弱点を見抜いてもらい最後は極秘のゴンザレス太郎のスキルの一端を披露して貰い助けてもらった。

彼等にもプライドがあるのだ。


「だから…」

「いいですよ」


ゴンザレス太郎が言葉を被せた。


「今回の事でかなりの神力を得ることが出来ましたし謝罪をしたいのであればこちらから提案があります」

「って、提案?」

「僕達を皆さんのパーティーに加えて貰えませんか?」

「えっ?」


ゴンザレス太郎はフーカと先程話して決めていた。

ゴンザレス太郎のスキルの秘密を漏らさない為にも仲間になった方が良いと判断したのだ。

特にこの世界では個人のスキルは秘匿にするのが普通なので一端とは言え教えてしまった以上抱え込む方向で考えていたのだ。


「もし認めてくださるのならもう幾つか皆さんの為にスキルを披露させて貰います。」


その言葉は悪魔の囁きのようだった。

あんな無茶苦茶なスキルが他にも沢山ある、それを伝えるには充分な言葉だった。

それにフーカのユニークスキル『スキミング』は冒険者にとって喉から手が出るほど欲しいスキルである。

なにせ見るだけで相手の名前や使えるスキル、更には弱点まで分かるのだから。

3人は知らないがその他にも『スピリチュアリティ』と言う嘘を見抜くスキルもあるのだが。


「も…もうちょっと相談させてくれ」


マジメの3人は再び会議を始めるのだった。

ゴンザレス太郎は自分達が加わったら『マジメゴフ』になるのか…ロシア人の名前みたいだなって考えていた。

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