第10話 古城

教会の裏にまわると、そこには高い崖があって、その崖には

太いツタがびっしりと張り付いていた。そのツタをよじのぼって

何時間も登っていくと、やがて広い草原に出た。


草原の上を霞が流れ、その向こうには巨大な山脈がのぞく。

その麓に、立派な古城が佇んでいた。

人の気配はない。人の手を離れてから

ずいぶんと久しく悠然とそこに立って

いるに違いない。

私はその威厳を損なわないように

ただその場に座って、その古城を幾日も眺めた。

その古城を遠くから眺めるたびに

なんとも言えず心が安らいだ。

幾日も飽きることなくその城を眺めては

帰って、また来た。

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