第8話 World was Full of Zombie. ep1
俺は彼女(がいる設定・・・)と彼女の両親と一緒に
お父さんの運転するカウンタックに乗って
人間達のいる安全な非難キャンプに向かうところだった。
既に日は傾き辺りも薄暗くなった頃、川沿いの道で
一息入れるついでに茂みに向かって用をたしている時だった。
ふと夕日のほうを眺めると向こうからゾンビたちが走ってきたので
俺達は急いで車に乗るとそのまま川の中に突っ込んだ。
そう、こいつは水陸両用カウンタックだ。
しばらく川の中を進んでいくとやがて河童達が車に群がってきた。
水面から差し込む光が作った影でよく見えない不気味な顔が
いくつも窓にへばりついて中の様子を伺っている。
お父さんはスピードを上げるが彼らはしつこくまとわりついてきた。
しかし一つ二つと小さな滝を通り過ぎた頃には
どうにかやり過ごしたようだった。
川から上がるとすっかり夜になっていた。
途中、灯りのついているウォルマートがあったので
食料を調達するために寄ることになった。
すると今度は5,6人の大学生風に化けた妖怪たちが
手に手にナギナタを持って襲いかかってきた。
しかしその刹那お父さんが何処からか刀を抜き出すと
瞬く間に全員を蹴散らしてしまった。
狸はシリアルの箱に突っ込み、猫又は地面に打ち付けられ
狐はアゴを強打して血を吹いた。
天女は振り上げたナギナタを真っ二つにされて硬直。
妖怪たちは尻尾を巻いて逃げていったが
運悪く狐と狸と猫又は捕縛されてしまった。
彼らを助手席(スリムだったのでなんとか全員収まってしまった)に乗せ
食料の調達を済ませた俺と彼女とお母さんが後部座席に座った。
「説教してたんですか?」俺が聞くとお父さんがぼやく様に言った。
「最近のやつは野生動物でもなっとらん」
どうやら彼らは人間達のキャンプからやって来たらしい。
おおかた普段は普通の人間として過ごしながら
やってくる人間達を襲っていたのだろう。
「どうして人間のキャンプなんかに?」俺が聞くと狐が言った。
「もうあそこしか人間の事を学べる所がありませんからね」
「そうそう」狸が相槌を打つ。「猫又くんは?」
「僕達はもともと人間から離れられませんから」
猫又は窓の外を眺めながら答えて黙った。
「・・・なるほど」俺はとりあえず相槌を打った。
「いやーしかし歓迎しますよ皆さん」
突然狐がわざとらしく調子のいい声を出した。
「あ、そういえばイナゴの佃煮があるんですけど、いかがです?」
すると続けざまに狸も乗り出してきて「ナメクジもありますよ!」
と言いながらトートバックからなにやら小汚い小さな瓶を出した。
「イナゴは嫌いなんだ。ナメクジなんか食べないよ」
俺が思わずそう言うと彼らは興ざめした様になって猫又が
「ずいぶん身勝手な言い方ですね」とつぶやくように言った。
「・・・ごめん」それからはもう誰も話さなかった。
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