第27話 マンガ肉
「ケビンおかわりー!」
ケビンの家で朝食を食べる日常の一ページ。
これの積み重ねが家族を作るのだ。
「ほらっちゃんと噛んで食べろよ」
「はーい!」
ケビンが手渡すのはご飯が入った茶碗ではなくアニメで見かけるアニメ肉、一体どうやって作ってるのか不思議だが美味しいから気にしないことにする。
「本当にケビンのご飯は美味しいねー」
この笑顔が今日も元気な一日の始まりを知らせる。
「ママー今日は町にお買い物に行くんだよね?」
「もぅ、マヤったら今はご飯中でしょ。まずはちゃんと食べてから」
「はーいママー」
えっ?この子が誰かって?
話は数日前に巻き戻る。
「くそー!さやか!あなたちょっとは手加減しなさいよね!」
ルーシーとのケビンの妻の座争奪バトルはさやかの12連勝となっていた。
奥さんらしい家事バトルって内容なので独り暮らしをしていたさやかの方が女子力が高いのは仕方ない、しかも魔法が使えないさやか相手に魔法を使って勝っても意味がないのでルーシーは慣れない手作業の家事に悪戦苦闘していた。
「さて、今日は何をしてもらおうかな」
勝ったさやかはルーシーに何でも一つ命令が出来るので肩を揉ませたり一緒にお風呂に入って洗いっこしてもらったりと好き放題していた。
何だかんだ言ってもさやかはルーシーを愛してるので毎回楽しくて仕方がなかった。
またルーシーも自分の気持ちに気付いてはいてさやかとイチャイチャするのが楽しいのだがいつ「ケビンを諦めて」って言われるか分からないと安心が出来ない精神状態が続いていた。
「んじゃあ、今日はルーシーの服と私の服を交換しましょう」
「ひぃ?!」
ルーシーは最近さやかが目の前で服を脱ぐ必要のある指示ばかり出しているのに気付き青ざめる。
もうさやかとはそういうことはしないと決めているのにさやかに誘惑され続けているのだ。
「さぁさぁ脱いで脱いで」
「ちょっ…自分で脱ぐから」
早速ルーシーの服を脱がしに掛かるさやか、手付きと目付きが完全におっさんである。
その時だった。
「おーい、さやかにおきゃくさ…」
ノックせずに入ってきたケビンの目の前にはルーシーの脱がされかかった姿。
何故か今も昔も人もエルフも全裸より脱ぎかけの方がエロいのだろうか、永遠のテーマである。
「ケビン見ないで~」
ルーシーの半泣きな可愛い声にドキッとするケビンは「すっすまない」っと後ろを向いて話し出す。
「なんかさやかにお客さんが来てるんだ、マヤって言う女の子なんだが居間で待って貰ってるから着替えたらきてくれ」
そう言い残しケビンは部屋を出ていく。
とりあえず約束は守るルーシーはさやかと服を交換してから二人で居間へ向かう。
そこには緑の髪の少女がいた。
セミロングの緑の髪がふわりと踊ってこちらを振り返りさやかの顔を見て凄く嬉しそうな顔をする。
そして、そのままさやかの方へ走り出し…
「ママー!」
さやかの胸に飛び込むのだった。
「はいっ?」
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