第23話 干し肉
あれから何日経ったのか…
ケビンは一人で今日も流れ作業のようにいつもの仕事をする。
何かやってないと心にぽっかりと空いた隙間に押し潰されそうになるのだ。
一人立ちをした時は一人でも平気だったのにさやかが来てから騒がしくも毎日が楽しかった。
ルーシーの存在も大きかった。
人口の減少と共に優秀な遺伝子を残せるように一夫多妻制が認められてるこの時代だがケビンは昔この制度を嫌悪していた。
にも関わらず二人の女性に自分の気持ちが揺れ動かされ考古学よりも二人の事で頭が一杯になっていた自分に気付いていた。
大切なものは無くして初めて分かるものなのだ。
「さやか…ルーシー…」
毎日寝る前までやることを詰め込み疲れ果てて眠る、その寝る直前に二人の事を思い出し心を痛める…
神にも祈った。
悪魔にも願った。
未来に希望も持った。
過去の自分も呪った。
しかし、事態は何も変わらない。
自分の決めた選択をやがて後悔し始めたケビンは覚悟を決め徐々に計画を練り始めた。
国家研究所を襲撃して二人を助け出して他国に亡命するのだ。
そして、隠れて静かに3人で暮らす。
それがケビンの中で膨れ上がった妄想だった。
たった一人で襲撃したところで返り討ちに遭うのは目に見えてる。
だがいい結果しか浮かばなくなってるケビンは失敗した時の事は考えない。
罪を犯す人間というのは盲信し全てが見えなくなるのである。
そして、その日は来た。
今夜、家を出て国家研修所を襲いに行く!
ケビンは覚悟を決めていた。
その日の夕方…奇跡は起こった。
「ケビンただいm…あなた誰?!」
物々しい武装をして自分が自分と分からないように変装もして夜通し行動できるように腹持ちする干し肉にかぶり付いてもう家に戻る気も無かったケビンの目の前に夢か幻かさやかが玄関のドアを開けて立っていたのだった。
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