第21話 手作りクッキー
「どう言うことなの?!説明してよ!」
叫んでる声が聞こえる…
「私は貴方に言われた通りにやったわ!」
この声はルーシー?良かった無事だったんだ。
「女同士なのにキスして肌まで重ねたのよ!」
えっ?ルーシー?誰に話してるの?
「なのに私じゃなくこの娘を好きになったって言うの?!」
「すまない…」
ゆっくりと目を開けるとそこにはルーシーと…ケビン?
「二人とも何…話してるの?」
私の声に反応して二人がこっちを向く。
「私は話すからね!」
「ちょっと待て!」
「触らないで!さやか聞いて、私が今から話すことを聞いてほしいの」
「よすんだ!」
ケビンの聞いたこともないような低い声を聞き背筋がゾクッとする。
「いいえ、もう限界よ!さやか、私は貴女を騙してたの!」
「えっ?それってどういう…」
「全部ケビンの指示だったの、貴女と友達になったのも肌を重ねたのも…」
「えっ?えっ?」
ケビンはルーシーを睨め付けてる。
「私はケビンがね好きだったのよ、子供の頃からずっと…それなのにケビンは考古学の事しか頭になくて…」
私は黙って話を聞いていた。
「貴女がここに来た時に私はケビンに呼ばれてここに来たの、そしてケビンの指示に従い貴女に魔力が無いことを確認した。そして、私の役目は貴女と親しくなって貴女がここを出ていかないようにする事だったの!」
私はケビンの方を向いて小さく言葉にする…
「ケビン…本当?」
答えないケビン。
「私は喜んだわ、ずっとケビンに相手にもされてなかったのに初めて頼りにされた。貴女の体液や髪の毛を渡したら「お前が幼馴染みで本当に良かった。頼りにしてるよ」って言ってくれたのよ!なのに…ケビンは貴女の事が好きになったって…こんなの酷くない?!」
私は何も言わない…何も言えない…
「森の中で会った時に熊に襲われて体を張って私を助けてくれた時は本当に嬉しかったわ、そして死んだかもしれないと知って悲しかった。なのに…全ては貴女を利用するための道具としかケビンは私を見てなかったのよ!」
ケビンも何も言わない…
「どう?これだけ言っても否定もしない、もううんざりなの…さやかもケビンも大っ嫌い!」
そう言ってルーシーは壊れたままの玄関から飛び出していった。
残された私とケビン、…
「すまない、酷いところを見せてしまったな、折角助けてくれたのに…」
ケビンの弱々しい言葉が耳に刺さる。
しかし、私にはケビンの感情が流れ込んできていた。
後悔、懺悔、そして…これは?
それは二人の魔法の効果であった。
そして、さやかはケビンに問う。
「勝算はあるのですか?」
その言葉にケビンの目が大きく開く。
そして、小さく頷いて…
「この家から今日中に移動するから準備しよう」
魔法の効果でケビンの気持ちが伝わる、彼は私と同じくらいルーシーを愛している。
そして、彼女を助けるために怒らせた。
理由は分からないが私は彼の言う通り出発の準備をして部屋に置いてたルーシーにあげるつもりだったクッキーを食べて玄関へ向かった。
だが、既に奴等はそこに居たのだった。
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