第15話 コカトリスの卵とオークのハムで作るハムエッグ
「えっ?なんで?」
目の前のルーシーが自分の両手を見て一人呟く。
さやかはずっと守ってきたファーストキスを突然奪われたショックとキスの高揚感にボーとしている。
そのままルーシーは振り返りケビンに向けて飛び付こうとしたがその顔面をケビンは手で押さえて制止させる。
「大丈夫だ、お前の魔法が効かなかっただけでちゃんと体入れ替わりの魔法は作動してる、だからどさくさ紛れにキスしようとするんじゃない」
ルーシーのオリジナル魔法『バディチェンジ』
対象と所持魔力を全く同じにしてから唾液交換を行うことで体を入れ換える魔法である。
通常は自身の魔力量を微調整して刹那のタイミングでのみ成功する幻の魔法なのだがルーシーは相手の臭いを嗅ぎ自身の魔力量を相手に瞬時に合わせる事ができるのである。
だがさやかに魔力が無かった為、体を入れ換える魔力が無い状態での魔法行使だった為、発動しなかったのだ。
「だって…ずっとケビンが研究していた人間なんでしょ?だから私が体を動かして頭の先からお尻の中まで調べさせてあげようと思って…」
ルーシーとんでもないことを考えていてしかもそれを本人の前で言ってる…
それを聞いていたさやか、遂にキレた。
「私のファーストキスをそんな身勝手な理由で奪った上に体を乗っ取って尻の中まで調べさせるつもりだった?」
さやかの両手は拳を痛いくらい握り口元はヒクヒクと怒りで痙攣していた。
そのままルーシーの前に立ち…
「私のファーストキスを返せー!」
そのままルーシーを押し倒すようにキスをした。
しかも怒りのあまり訳がわからなくなっていたさやかはそのままルーシーの股と胸に手を伸ばし…
番組の途中ですがニュースをお伝えします。
昨夜未明、国道8号線の路上でリンボーダンスを行っていた男性がロードローラーの下を潜ろうとして失敗する事故がありました。
ニュースをお伝えしました。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
さやかの前に衣服がはだけて荒い息をしているルーシーが横たわっていた。
さやかも上半身は裸で全身に汗をかいていた。
ちなみにケビンはさやかがルーシーを押し倒した時に「ま、薪でも集めてくるわ」っと出ていったので今起こってた事は知らない。
さやか、Aに続きBまでもルーシーにあげてしまった後悔が今頃出てきて落ち着きと共に頭を抱え始める…
「あなた名前は?」
ルーシーが息を落ち着かせながら聞いてきた。
「さやか…だけど…」
「そう、私はルーシー」
暫しの無言…
「ねぇ、さやか。私貴女の事が気に入ったわ、お友だちになってくれないかしら?」
「…うん、いいよ」
そう言って手を取り合い最後のキスをして二人は服を着る。
さやかも何故かルーシーに対しては親しい間柄のような感じを受けておりルーシーからの言葉に心が踊ったのを感じていた。
その後、少しして帰ってきたケビンは急に二人が仲良くなっているのに疑問を浮かべながら遅めの朝食としてハムエッグを用意した。
「何これ美味しい!?」
さやかの歓喜の声が上がる。
「これはコカトリスの玉子にオークのハムを使ったんだが口に合って良かった」
三人は楽しい朝食を取るのだったがこの時さやかの身にとんでもない事が起こり始めていたのをまださやかは知らなかった。
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