第12話 手作りサンドイッチ

「勇治調子はどう?」


りあらが仕事帰りに男の様子を見に来ていた。

初日の帰りに入り口の表札を見て名前を知りいきなり「勇治またお見舞いに来ていいかな?」って勢いで言ったらOKされたので今日からいきなり呼んでみた。

そして、奇妙な偶然だとさやかの事を勇治に話すのだった。


「同じ5000万円って変な偶然だね」

「それとね、これ…今月の分に使って」


りあらはそう言って昼休みに銀行で降ろしておいた30万円の入った封筒を手渡す。


「今月の分って…お前これ…」

「いいの、勇治は今月は怪我で働けないでしょ?だから今月はこれで乗りきって来月からお金が残ったら少しずつ返してくれたら良いから」

「…本当にいいのか?」

「うん、だけど貸すだけだからね!ちゃんと返してよ、」

「あぁ、すまない本当に恩に着る」


実は明日が月末で勇治は既に諦めていたのだ。

これで首の皮一枚繋がった。

明日の集金を支払ったら何がなんでも金を稼いでりあらに恩を返す。

そう勇治が心に誓った時に事態は大きく動いているのをこの時誰も知らなかった。


そして、翌日。

りあらは会社に課長を筆頭に重役が誰一人出勤しない事態に。

勇治は集金に誰も訪れず許可をもらって携帯電話で自社の「タカラミート」に電話をするのだが誰もでない事態にそれぞれが直面する。


夕刻、仕事が終わり勇治の見舞いに行く前に一度帰って家で作ってきたサンドイッチを持参し病院へ行くりあら。

りあらの手作りサンドイッチを食べながら互いの状況を知らせ合ってる所に警察がやって来たのだった。

二人はニュースを見てなかったので知らなかった。

いくつもの大企業が絡む人身売買組織がさやかが巻き込まれた事故を切っ掛けに次々と壊滅する大事件の始まりがすぐそこまで来ていたのだ。

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