第18話【夢じゃない。】




闘いからあたしは逃げた。

大切な仲間を裏切って。

私利私欲の為に。

そして勇者は死んだ。

そこで、行き着いた先は暖かい温もりの場所。

もう、辛い日々に戻らなくていいんだ。

晴れてあたしは自由になった。

でも、その楽園が今、足元が鈍い音を立てて崩り去り、奈落の底に落とされる。

『ハウア!』と叫び飛び起き嫌な汗を額にじませ飛び起きる。壁掛けを見ると

無地の白いシャツに覆い被さるように青のチェックのベストが掛けられ、黒のロングスカートが綺麗に折り畳まれていた。

そうか、今日からあたしは......

そこで、自分は今日からこの喫茶での仕事が始まるのだと思い出す。「はぁー、働きたくないなぁ」ため息混じりに毒づく。最悪だ。夢じゃなかったのかぁ

これからは、苦難の生活から抜けることができると思っていたのに、それを邪魔される事態に陥ってマスターから借金返済の肩代わりバリスタとして働い貰うことを告げられたのだった。

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