第11話 コーヒーのように。】






自家焙煎店Roast,sからの帰り道。

本格的なコーヒーの余韻を残して二人はbarist,sへと帰路についていた。

リサに対する自分の気持ちを

伝えたくても上手く言葉にできづにいた誠一郎は何とも言えないはがゆさを感じていた。

この気まずい沈黙に耐えられずに初めに痺れを切らし、おもむろに語り出す。

「さっきのコーヒーは衝撃的だったな豆から淹れるコーヒーは一味違うとゆうかなんとゆうか...」

駄目だこれ以上は言葉が出てこない。と再び訪れようとする沈黙を覚悟したその時のこと。

リサの肩がピクリと動いた、と思うと

「コーヒー、」と一言呟く。

「どうかしたか。」横目で恐る恐るリサを見る。

そこには瞳にほとばしるような熱を宿した彼女が中指の腹で眉間を抑えてクイっと眼鏡を上げる仕草を取る。いや、彼女は眼鏡などしていないのだが、本当に眼鏡をかけているかのようだ。

すぅーとい気を吸い込みカッと目を開く

「そもそもコーヒー豆とは、コーヒーの木になるフルーツの種でそれを洗浄し乾かしたものが私達が飲むコーヒー豆になるわけで...」

「つまり、コーヒー豆ではなくてコーヒーだと」

「はい。」冷静なる口調でリサは頷きインテリポーズを止める。

一呼吸おく誠一郎『じゃあ、これからは、コーヒーと呼ぶか』とリサに応えを求めると「いや、それじゃあ...ムードが......」と一瞬で豆と認めるのだった。

リサの珈琲ウンチクが終わったとこで、俺は切り出すことにした。

「いやー、それはいいとしてコーヒーとはいいものだな。気付いたよ、俺はコーヒーが好きだ。これからどこまでも深く知りたいくらいに、何者にも代えられない程に。そして愛おしいくらいに。」とリサへの持ちをコーヒーに例えて伝えてみた。

とゆうかこれしか言葉が見つからなかったんだ。

......

しばらくの沈黙が続く。


だけどリサの応えはなかなか返ってこなくしばらくの沈黙が続く。

やっぱり伝えるのは早すぎたか......と

半ば諦めるが、リサは頭を両手で抱えて「つまり、コーヒーが好きだってことでいいんだよね。」

とか細く呟く。

「あぁ、コーヒーだよ。」

これでいい。

天然バカで良かった...と自分の気持ちがバレなかったことにホッとする。でもそんな間の抜けた所も彼女の魅力の一つで大好きだ。



これで、これからもリサの側に居れると安心し、これからもこの気持ちは心にしまっておくとしよう。リサに対しては良き上司として見て、頼られる部下になろうとと静かに心に決めるのだった。




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