第9話【勇者が死んだ !?】

思いがけずにとある喫茶店に転がり込んでから

なんだかんだでしばしのいとまを貰うことに成功した。本当は、自宅でくつろぎたいんだけど、いかんせん。マナが尽きて帰れないから。それに、ここでの生活があまりに心地良いから。

こうして新しいいこいの場をみつけて数日が過ぎたある日こと。あの日の労働宣言は何処いずこに迷子の少女は、休憩室の一角に寝城を作り引きこもり生活をおくっていた。

「そうゆうことだったか...」マスターは頭を抱えて人手不足を補う人材を半ば諦めのため息をつく。

「仕方ないっすよ、気持ちはわからなくもないから」

真面目に働くかと思われたが、休憩室へと引きこもってしまった迷い子に、いや今は、この喫茶店の居候に同調するも、無言で白い目で見られる誠一郎は失言だったと口にチャックをする。

そんな時、Barist,sに新たな来客を告げる。

扉の鈴がカランコロンと鳴る。

音の鳴る方へ奈緒子は顔を向けるとそこには、一組の男女のカップルがいた。黒魔術師を模したかのような黒ずくめ格好の男と西洋のメイド風の格好をした女の人だった。

「いらっしゃいませー!」とテーブル席へと二人を誘導する奈緒子。

テーブルに座る二人は注目を頼むことことなくどこか、落ち着かないでいる。彼らの様子を横目に見て、ふと目を伏せる。

すると突然、相方の女の人が

申し訳なさそうに手を上げる。

「すいません。この喫茶店に魔導師の女の子はお邪魔していませんか?」と。

......

少しの間が空く

あっと思い当たり、一人でコクンと頷いて「少しお待ち下さい。」と伝え、いそいそ奥へと下がる。

その間二人は浮かない顔で空を見つめる。

「本当に伝えたほうがいいのかな...」

何かをためらい答えを求めるおしとやかな女性は

どこか憔悴しょうすいしきっている。

「大丈夫だろ、アイツならケロっと受け止めてくれるさ。ただ引け目を感じるだあろうことは否めないがな。」邪見にしても相手に気を配れる心の持ちようは残っているとばかりに軽く笑ってみせる。

深呼吸をして気持ちが固まったかのように姿勢を正す。二人のその様子を不安な面持ちで見守っていたマスターは二人の元へ向かい、「どうぞ、サービスです。」と二人にブレンドコーヒーとナッツを差し出す。


コーヒーに手をつけようか迷っている2人の元になにやら騒がしい声がきこえてくる。

『やだー!行きたいたくないー!知らない人だし。

やーめーろー!!』と駄々をこねるニートのお連れだ。

ダボッとしたゆったりとした服に眠たそうな目をした少女は二人のお客を前にして目を見開く。

「グレイ! メイリィ!?」

まさか、なんでここに?!とゆう顔で驚く。

優しく微笑む女性は「誰が知らない人かな?」

と尋ねる。そう、優しく。

まともに目をあわすのことの出来ない少女は軽く口笛を吹いて誤魔化す。

そんな彼女の考えを見透かしたかのように

自分の目を見つめてくる。「ずっと我慢していたんだよね。」と優しく語りかける。

「うん。」

素直に頷くき、俯く。そして加えて一言。

「でも、ブログにダラけを載っけるなんて詰めが甘いよマシロ。」薄い板状の液晶端末を掲げてみせる。静かな笑みを浮かべてはいるが口角を引きつらせていた。

「うぅっ...」

やっぱり怒ってた。


そこから一変して「実はね、マシロに伝えないといけないことがあるんだ…」と神妙に小さな子供に言い聞かせるように慎重に言葉を紡ぐ。

「勇者様が、リーダーが死んじゃったんだ...」と。

それは、あまりにも急な知らせで言葉が出てこなかった。




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